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「樹くんが、無機質だった自分の世界を変えてくれた。」
無関心にあふれる東京の街で、私は本当に独りぼっちだった。でも息を切らして彼が会いに来てくれた日、私は自分が独りぼっちじゃないと知った。
「もう…前の自分に戻るのは嫌だから…、だから樹くんといれば…自分のこと好きでいられるんじゃないかって思って…、」
涙がまたこぼれた。自分の中の熱い感情はいくらか落ち着いていたが、それでもまだ胸の押し潰されそうな苦しみや不安は消えないまま
「だから、一緒にいない時の自分が好きになれなくて、会えない時は、不安で泣きたくなる。でもそれは樹くんのことを困らせてるって分かるから…余計に自分が嫌になって仕方なかった…」
そこまで言葉を絞り出して、もう頭がパンクしそうなくらいになっていた。
前の自分では考えられないほど多くの感情が
胸の中でうねり、渦巻き、止められない急流のように迸った。
希はそこで少し黙った。部屋が静まり返る。
時折、北風がすさぶ音が聞こえてきた。
それから、口を開いたのは、今度は美央さんだった。
「Aはさ、自分のことを好きでいるために彼といるの？」
すぐに答えることが出来なかった。
視線を彷徨わせながら答えを探した。
「Aは、そう思ってるかもね。だって彼といるときだけ、自分のこと好きになれるんでしょ？」
そんな風に聞かれるとは予想もしていなかったので、再び答えられなかった。
「わかんないんです…」
「Aはさっきそう言ったけど…でも、違うんじゃないの？」
「…どういうことですか？」
「自分のために彼といるわけじゃないでしょ？」
「………」
「一緒にいたいからいるんでしょ。好きだからいるんでしょ」
“『一緒にいたい…』”
ほとんど限界だった時、彼の手を握ったあの時に、1番に口から出てきた言葉をずっと忘れていたような気がする。
無意識に、まるで息をするかのように言った言葉
「ごちゃごちゃ考え過ぎだよ。彼のことが好きで、好きすぎて、すぐ近くにいるのに全然会えなくて辛い、それだけでしょ？」
胸が抑え込まれたように苦しくなった。尽きたはずの涙がふたたびこみ上げ、頬をぬらした。
こんなに苦しくて狂おしい感情が自分の中に眠っていたなんて、ただ信じられなかった。
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蘭の花(プロフ) - あーぴさん» ありがとうございます！わたしもそう思いながら書いているのですが…頑張ります涙(TT) (2020年7月4日 19時) (
レス) id: edbf778f76 (このIDを非表示/違反報告)
蘭の花(プロフ) - もあさん» このあとの二人がどうなっていくのか、ぜひお楽しみに。(^^) (2020年7月4日 19時) (レス) id: edbf778f76 (このIDを非表示/違反報告)
蘭の花(プロフ) - Ailisさん» 別れるのか一緒にいるのか、どんな選択をするのか見守っていて下さい(^^) (2020年7月4日 19時) (レス) id: edbf778f76 (このIDを非表示/違反報告)
蘭の花(プロフ) - はなさん» いったい二人はどうなってしまうのでしょうか。お楽しみに(^^) (2020年7月4日 19時) (レス) id: edbf778f76 (このIDを非表示/違反報告)
蘭の花(プロフ) - ゆずさん» 本当に究極の選択ですよね。好き同士だけどそれだけじゃだめという現実が辛いです(TT) (2020年7月4日 19時) (レス) id: edbf778f76 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蘭の花
| 作成日時：2019年11月16日 21時
