病弱少女は八乙女楽の想い人で、逢坂壮五の妹です！！２ (ページ29)

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小悪魔からみた小悪魔ページ29

天side
「それでね、龍ったらさ、どうしたと思う？」
『んー、うっかりこけて、大女優さんの上に覆いかぶさってるんだよね？トーク系番組でカメラもまわってる。けど龍さんだから・・・あっ、まさか・・・真っ赤になって、慌てて、もう一回コケた！？』
「そう、あたり！！しかもグラスの水と一緒に。１回目切られて、２回目のとこだけ、使われてた。水もしたたるいい男！ってテロップつけられて！スタッフさん、いい仕事するよね」
『あは、あはは・・本当・・』
収録中にあったドジ話は、お気に召したみたい。さっきからずっと笑ってくれてる、昔に戻ったように。腕時計を見ても、小さく中央でめくられてきた日付けは進み続けているのに。
顔は笑顔のままで、少し沈んだ気持ちになっていると、上手く人ごみにまぎれているけど、目立つ銀の髪が見えた。そろそろ、かな。
「ほら、A。浴衣姿で君の王子様がお待ちかねだよ？楽しんできて。僕はここがいい。十分、楽しませてもらった」
『ん、ありがと、てーにぃ！！あの、ごめん。今しか言えなくなると思うから言いたいことがあるの』
「なぁに？何でも言ってごらん」
そう言うと、この子は、僕の耳元でささやいた。
確かに、今しか言えない告白を。
「・・・・・そっか。ありがと。ねぇ、A。忘れてない？僕だって男だよ。
なんてね。緊張ほぐれた？行ってらっしゃい」
一気に口にして離れる。あの子が楽の方へ向かっていって、楽しげに笑い合うのを鏡ごしに確認して、そこに割り込んできた笑顔が泣き出しそうに変わった真っ白い髪とピンクの眼の少年と話す。
「本当、あの子はずるいよね。」
〈でも、そんなところを僕は好きだったでしょう〉
しばらく黙り込んで、彼にだけ打ち明ける。
「昔の、なつかしい話。
小さくて可愛いプリンセスイツ、傷だらけでも夢を追いかけてるA。キミは、とんでもない僕の小悪魔だよ」

『わたしの初恋はね、てーにぃと、りくなんだよ。ビックリした？』
なんて。楽が羨ましくて、たまらなくなってしまう。