雲と警告 ページ20
ーというわけなんだ。あの子がなんで副会長してるかは、分からないけど」
「そっか。「「話してくれてありがとう、龍」」
「二人とも、仲良いね！」
「誰がこんな、」
いつものように悪口言いかけた楽は、天井に向いて、ため息を大きくついた。
「悪い。頭冷やしてくる。」
そう言って、外に出た。
「天は、平気？」
「当たり前。でさ、龍。楽に、救ってくれって頼んだなら、まだあの子はー
「うん、そうなんだ」
「「自分がスペアでしかないってことに、縛られてる」」
楽side
海辺を散歩する。気づいたら足が向かっていた。
海と月を同時に見ようとした瞬間。
「動くな」
首すじに何か当てられた。後ろの誰かは何か言う。
「警告。あいつに、逢坂Aにした約束を取り消せ。泣かせるだけだ。ああするしかないんだよ、あいつも。生半可な恋心じゃ、覚悟じゃ、二人揃って奈落の底。しばらく会わない気だ」
「お前は、誰だよ」
「零波 零雲。あいつは知らないけど、さ。
逢坂 Aの婚約者」
「は？」
振り向いた瞬間。首の丸められた旅行雑誌が広げられた。
「正直に言う。あんたが覚悟があるなら、俺はあいつを譲る。運んでやるよ。あいつの部屋まで。
賭けを、しようぜ？
お前はフラれたら、二度とあいつと会わない。お前がOKもらえたら、全力で約束叶えるの、手伝ってやるよ。
面白いだろ？」
Aに会うためには、それが一番手っ取りばやいだろう。けど、俺は、
「お断りだ。」
「会いたくないのか？」
「会いたいさ。けどな、あいつを賭けの、ゲームの賞品みたいにモノ扱いするのは、俺が嫌なんだよ！！Aのまわりが敵だらけなら、護ってやりてぇし、ひとりぼっちで戦って、泣いているなら、抱きしめて、ほめてやりたい。
だって、俺は」
大きく、息を吸った。ライブ前や本番前、本気をだす時に、よくする。
世界中に伝える気で、宣言してやった。
「俺は、あいつを愛してる！！好きなんかじゃ全然足りねぇし、愛してるでもまだ弱いぐらいにな！
お前や親父みたいな、人をゲームのコマ扱いする奴にやる気はない！」
本心から、そう叫んだ。
ヤツー零雲は、大笑いした。おい。
「何がおかしい。」
「ハハッ、ウワサが間違いで良かった。
合格でございます、八乙女 楽様。我々零波兄妹の試験に。遊び人のイメージがあんたはどうしても拭えない。なんてったって、NO.1だし。だから、俺の提案にのったら、即アウトにする気だった。でも、あんたは真面目でいい奴だ。だから、会わせてやる」
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作者名：アスト | 作者ホームページ：http://id11.fm-p.jp/545/05251357/
作成日時：2016年9月27日 18時
