イナズマイレブンGO 病喰い お口直しはいかがですか？ 二皿目

×陸拾× ページ10

翠:朱月さま！
朱月:参ったぞ翠。…なんじゃ、その顔は。

呆れたように朱月が首を振る。
事実、翠は何とも言えぬような顔をしていた。強いて言うならば、仰天。

翠:こ、こんな早く話を進めてくれるとは思わなくて…
朱月:善は急げじゃ。着物を見せて貰えるかの？
翠:では、奥にどうぞ。天斗もありがとな。
天斗:いえ！それでは俺はここで。
朱月:ご苦労じゃったの。

朱月と翠は天斗を見送って、奥に進む。
襖の前につくと、翠は襖を開けた。

朱月:…ほぅ？
翠:いかがでしょうか？
朱月:見事じゃの。
翠:ありがとうございます！

赤い生地に大輪の菊が刺繍された着物が掛けられていた。

朱月:帯は、どうするのじゃ？
翠:こちらです。

黒地に金糸で刺繍された菊の花。
着物とは違う菊の刺繍に思わず朱月は嘆息を洩らす。

翠:お召しになってみますか？
朱月:頼むとするかの。
翠:では、こちらで…
朱月:一つ、良いかの？
翠:なんですか？

言いにくい事でもあるのか、朱月が顔を歪ませる。

朱月:わっちは、その、ひ、人に肌を見られたくないのじゃが…
翠:？何でです？
朱月:見られる事に抵抗があっての。
翠:では、表に居ます。終わったら呼んでください。
朱月:恩に着るの。

朱月は一人、帯をほどき始めた。

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