×伍拾陸× ページ6
一串団子を食べ、お茶を啜った後、翠は朱月に改めて向き直った。
翠:朱月さま、正式にお願い申し上げます。うちの店の着物を着ていただけないでしょうか。
朱月:…訳があるようじゃの?
その一言が、頭を下げた翠を硬直させる。
朱月は気にせず、話を続ける。
朱月:わっちも初対面でうちの店の着物を着ろと言われても驚くだけじゃ。話すがよい。
翠:……はい。
翠は、ぽつぽつと話始めた。
翠の家は代々続く呉服屋で、此処等(ココラ)では名の知れた店だと言う。
だが、ここ数年、着物が売れない。流行りの着物を仕立てても、売れないそうだ。
瓦版では店の出鱈目(デタラメ)な噂を取り上げられ、ますます売れないそうだ。
翠は浮世絵師に頼み込んでうちの店の着物を着た人間を描いて欲しいと頼むが、着物を着た納得できるような人間を連れてこいと追い返され、店に帰る途中、朱月を見つけ、頼み込んだ始末、らしい。
朱月:ふむ…
翠:お願いします!一度、着ていただくだけでいいんです!
朱月:ちと待つがよい。わっちも少々考えさせて貰えぬかの?
翠:は、はい。
朱月は考えながら、もう一串のあん団子を口に運び、お茶を啜る。
団子を食べ終えたところで、再び口を開いた。
朱月:翠よ、わっちは赤い着物しか持っておらぬのじゃ。
翠:え?!じゃあ、あの噂は本当だったのか?!
朱月:噂、とな?
翠:は、はい!えっと、「金髪に赤い着物を着た女を町でよく見かける」?のなんてらでした。
朱月:噂…のう。
翠:?
朱月はどこか、遠い目をしていた。
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ちびねこ - 蓮さん» ありがとうございます!なかなか沖田さんとキャッキャウフフが出せなくてすいません!更新頑張りますね! (2014年8月25日 1時) (レス) id: a0f37bd9af (このIDを非表示/違反報告)
蓮 - 面白かったです、更新するのを楽しみにしていますね! (2014年8月23日 21時) (レス) id: 0314cd72e9 (このIDを非表示/違反報告)
ちびねこ - 霧風 晴介さん» ありがとうございます(´ω`*人)そこまでストレートに言われると照れちゃいます(≧艸≦)キャッ (2014年8月14日 1時) (レス) id: a0f37bd9af (このIDを非表示/違反報告)
霧風 晴介(プロフ) - 更新頑張ってください!私はこの作品好きです(=゚ω゚)ノ (2014年7月17日 20時) (レス) id: ce6b1caa6d (このIDを非表示/違反報告)
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