×玖拾玖× ページ49
朱月:ふむ。もう大丈夫じゃの。
拓之進:ここまで早く傷が癒えるものなのだな。
朱月:わっち秘伝の薬を染み込ませた呪符じゃからの。幾分は早く癒える。
拓之進:呪符?
朱月:ちぃとばかし呪文は書いてあるが、わっちの村では普通の事じゃ。
少し、朱月自身の話が出たので、拓之進は好奇の目を向けた。
拓之進:朱月殿は、何処からいらしたのですか。
朱月:遠い所からじゃ。おんしらの住む都とはかけ離れておる。
手早く荷を纏め、朱月はゆらりと立ち上がる。
朱月:おんしの父上に呼ばれての。これもついでじゃ。代金を請求してくる。
拓之進:いってらっしゃいませ…?
朱月:無理に慣れぬ言葉を遣うでない。奇妙に加えて滑稽じゃ。
朱月だからこそ、ここまで言えるのだろう。領主の嫡男に奇妙滑稽と言えば、どうなるかは百も承知である。
朱月:さて、代金を請求してもよいかの?
神童父:勿論だとも。
書かれた代金に小さく呻き声をあげたが、朱月は知らぬ顔でいた。
神童父:これで、全部だ。
朱月:ふむ。
朱月が手を伸ばすと、すい、と後ろに代金を引かれてしまった。
神童父:お聞きしたいことがいくつか。
朱月:なんじゃ。
神童父:どうやってあの末期の病を治された?
朱月:わっちはこの国を巡っておる。おんしらの知らぬ医術があっても不思議ではあるまい?
言える訳がない。
朱月は恐れられている『病喰い』であることを。
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ちびねこ - 蓮さん» ありがとうございます!なかなか沖田さんとキャッキャウフフが出せなくてすいません!更新頑張りますね! (2014年8月25日 1時) (レス) id: a0f37bd9af (このIDを非表示/違反報告)
蓮 - 面白かったです、更新するのを楽しみにしていますね! (2014年8月23日 21時) (レス) id: 0314cd72e9 (このIDを非表示/違反報告)
ちびねこ - 霧風 晴介さん» ありがとうございます(´ω`*人)そこまでストレートに言われると照れちゃいます(≧艸≦)キャッ (2014年8月14日 1時) (レス) id: a0f37bd9af (このIDを非表示/違反報告)
霧風 晴介(プロフ) - 更新頑張ってください!私はこの作品好きです(=゚ω゚)ノ (2014年7月17日 20時) (レス) id: ce6b1caa6d (このIDを非表示/違反報告)
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