×玖拾壱× ページ41
朱月:…何処じゃ。まったく。
不気味なまでに静かな雑木林を、朱月は赤い傘を携えて一人歩く。
この傘はいつかの、沖田を入れたあの番傘である。
もう片手には、文が握られていた。
内容は、沖田を返して欲しくば、明日、町外れの雑木林まで来いという、なんとも品の無い内容だった。
野良犬:来やがった!
朱月:うん?
飛んでくる拳大つぶてをひらりひらりと避けながら、一踏みで間合いを詰めた。
朱月:わっちとて暇ではない。早よぅせい。
野良犬:けっ、所詮女に何ができる?!
朱月:早よぅ、貴様らの頭を連れてこい。
番傘の先で野良犬の顎を掬い、鼻先を流れる手付きで突いた。
両方の鼻の穴から流血しながら、一人は頭を呼びに駆けていった。
朱月:やれやれ。沖田もたわけじゃの。こんな文に掛かるとはの。
ぐしゃりと文を握り締める。
相当頭に来ているのだろうか。朱月の周りの空気が鋭く尖っている。
朱月:わっちの大事な生ける糧を奪いおって……
少々話が違う気もするが、頭に来ているのは確かだ。
朱月:くそっ…ここでこれを出すのは気が退けるが……仕方ないの。
朱月は布を巻いた細い腕を撫でる指は震えているが、瞳には覚悟が灯っていた。
頭:待たせたなぁ!女ぁ!!
声がした方へ首だけ向ける朱月。
声は野太く、声の主も図体はでかい。朱月もさほど小柄ではないが、それでも頭一つ分以上は差があった。
朱月:沖田を、何処へやったのじゃ。
朱月の周りの空気が、一斉にざわめきだした。
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ちびねこ - 蓮さん» ありがとうございます!なかなか沖田さんとキャッキャウフフが出せなくてすいません!更新頑張りますね! (2014年8月25日 1時) (レス) id: a0f37bd9af (このIDを非表示/違反報告)
蓮 - 面白かったです、更新するのを楽しみにしていますね! (2014年8月23日 21時) (レス) id: 0314cd72e9 (このIDを非表示/違反報告)
ちびねこ - 霧風 晴介さん» ありがとうございます(´ω`*人)そこまでストレートに言われると照れちゃいます(≧艸≦)キャッ (2014年8月14日 1時) (レス) id: a0f37bd9af (このIDを非表示/違反報告)
霧風 晴介(プロフ) - 更新頑張ってください!私はこの作品好きです(=゚ω゚)ノ (2014年7月17日 20時) (レス) id: ce6b1caa6d (このIDを非表示/違反報告)
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