イナズマイレブンGO 病喰い お口直しはいかがですか？ 二皿目

×漆拾漆×　京矢目線 ページ27

医者は、奇妙な布を俺に巻いた。
紫の文字らしきものが綴られた、帯状の布。

朱月:わっちは生憎、これしか持たぬ。
京矢:拓之進さまに巻いたのは…
朱月:同じじゃ。

あっけらかんと言う医者。
普通の、白い布じゃない。

京矢:…不気味だな。
朱月:そうかの？
京矢:あぁ、言い様が無いほど、不気味だ。
朱月:それはわっちを愚弄しておるのか？
京矢:さぁな。

どう見ても兄さんと同い年か、それくらいの女に、治療を受けている…。
複雑な気分だ。

朱月:わっちの布は呪符と言ってな。傷によく効くのじゃ！
京矢:は。ただの布だろ？
朱月:ただの布ではない！呪符じゃ！
京矢:はいはい。

呪符…ねぇ…
そんな化け物を封印するだとか、草子くらいで読むような話の呪符くらいの知識しかない。

朱月:なんと記しておるかは秘密じゃ。
京矢:聞かねぇよ。そんなの。

お経でも書いてあるんだろ。

朱月:さ、今宵は泊まってゆくがよい。
京矢:いや…帰る。
朱月:兄上の事が心配かの？
京矢:…あぁ。
朱月:兄上の事は心配かもしれぬ。じゃがの、ちっとはおんしの体を気遣っての…
京矢:それよりも！

俺は医者の言おうとすることを途中で止めた。

京矢:…俺にとっては、たった一人の兄弟なんだ。


気付けば、泣いていた。

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