×漆拾陸× ページ26
朱月の手には、先程まで見あたらなかった刀が一降り握られていた。
朱月:覚悟するがよい。わっちを怒らせてしまった故の結果じゃ。
朱月は人質に取られた体勢のまま、刀を降った。人質に取っていた男の腕が消えた。
京矢の背を踏みにじっていた男の足が消えた。
京矢の髪を掴んでいた男の腕が、腕を組んで汚く笑っていた男の腕が、足が、腕が、両耳が、足が、足が、腕が。
消えていた。
絶叫。
十人はいる男達の絶叫が響いた。
静かな何かを灯した朱月は、その瞳のまま彼らを見ていた。
朱月:安心せい。殺.しはせぬ。
いつの間にか、朱月が持っていた刀は消えていた。
京矢:あんた…
朱月:話すでない。肋骨が折れていたら厄介じゃ。痛むかの?
京矢:いや…
朱月:強がるでない。おんしがいくら痛みから強がっても、わっちにはお見通しじゃ。
肩に京矢の腕を担ぐ。
京矢は大人しく担がれ、何も言わなかった。
朱月:今宵はわっちの家に泊まるがよかろ。
京矢:…断る。
朱月:ならば、どう言い訳するのじゃ?
京矢:…喧嘩だと言い張る。
朱月:ほぅ!おんしは血の気盛んじゃのぅ!
京矢は困惑する。
先程と様子が違い過ぎる、と。
目でも追い付けなかった太刀さばき。
静かな何かを灯した瞳と静かな声。
打って変わった今の態度。
京矢:痛っ。
朱月:わっちが診るから安心せい。
京矢:…ちっ。わかったよ。
もう少し京矢は、朱月と行動を共にすることを決めた。
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ちびねこ - 蓮さん» ありがとうございます!なかなか沖田さんとキャッキャウフフが出せなくてすいません!更新頑張りますね! (2014年8月25日 1時) (レス) id: a0f37bd9af (このIDを非表示/違反報告)
蓮 - 面白かったです、更新するのを楽しみにしていますね! (2014年8月23日 21時) (レス) id: 0314cd72e9 (このIDを非表示/違反報告)
ちびねこ - 霧風 晴介さん» ありがとうございます(´ω`*人)そこまでストレートに言われると照れちゃいます(≧艸≦)キャッ (2014年8月14日 1時) (レス) id: a0f37bd9af (このIDを非表示/違反報告)
霧風 晴介(プロフ) - 更新頑張ってください!私はこの作品好きです(=゚ω゚)ノ (2014年7月17日 20時) (レス) id: ce6b1caa6d (このIDを非表示/違反報告)
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