イナズマイレブンGO 病喰い お口直しはいかがですか？ 二皿目

×陸拾捌× ページ18

京矢:卑怯な奴だ。
朱月:ほほ。お互い様じゃ。
京矢:ちっ…わかった。明朝、拓之進さまに頼んでみる。
朱月:いや、わっちが直に頼む。
京矢:それは…
朱月:わっちは拓之進の恩人じゃ。拓之進も断りはしまい？

ふっ。と笑った。
京矢は警戒の色は見えるが、先程と比べるとましなほうだ。

朱月:さ、今宵は泊まってゆくがよい。少し狭いがの。
京矢:いや…帰らせてもらう。
朱月:ほほ。別に取って食いはせぬ。

軽く笑う朱月に対し、京矢は警戒心を解いていない。

京矢:俺は貴様を信用していない。
朱月:それくらい、見ればわかるのじゃ。
京矢:…っじゃあな。

京矢は夜の町を駆けていってしまった。
暗いから提灯(ﾁｮｳﾁﾝ)を持っていけと、朱月が言うよりも早かった。

朱月:…取って食う、か。

朱月は自分の指を思いっきり噛む。
言うまでもなく血が滴るが…その血は赤くない。
いや、噴き出した時は赤いのだが、次第に紫に色が変化していく。

朱月:こう見ると、化け物じゃの。

自嘲気味に朱月は笑う。
そして既に止まった血を舐める。

朱月:さて困ったの。どう言って連れ出すかの。

どうやら先ほどまでの言動は行き当たりばったりだったようだ。

朱月:ま、寝れば思い付くかの。

行灯の日を消して、朱月はごそごそと布団に潜った。

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