×陸拾弐× ページ12
絵師:もう少し首を傾げて…あぁ、煙管はそのままで結構です。視線はあちらに…そうです。
指示通りにすると、朱月は気だるそうに煙管から煙を昇らせる姿となった。
大輪の菊の着物と帯も引き立てる上では申し分ない。
翠:着物はうちの一番上等なやつだ。ちゃんと描けよ?
絵師:そりゃ噂の別嬪さん連れてこられちゃ断れねぇさ。
朱月:まだかの?
絵師:も、もう少しだけ!
噂の別嬪こと、朱月はつまらなそうに待った。
絵師が筆を動かす間は朱月は動くことができない。絵師もよっぽど納得がいかないのか、何枚も描いていた。
翠:これなんか良いんじゃねぇか?
絵師:駄目だ。こんなのじゃ噂の別嬪さんに失礼だ!それと、別嬪さんを噂してる輩(ヤカラ)にもな。
俺の身があぶねぇよ。と絵師がごちる。
漸(ヨウヤ)く絵師の納得がいく絵が仕上がったのは、日も傾き、茜色に夕日が照らす頃となっていた。
朱月:やっとか。
絵師:はい!刷れたらすぐにお見せいたしますので!
朱月:見せんでよい。わっちは見たいから来たのではないのじゃ。
絵師:は、はい?
翠:もったいないですよ朱月さま!せっかくこんな凄い絵なのに…
朱月:わっちは頼まれたから来ただけじゃ。
朱月は煙管を置いて立ち上がる。
朱月:行くぞ翠。着物を取りに戻る。
翠:はい!
夕日に金髪を染め上げ、朱月はゆらゆらと店を後にした。
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ちびねこ - 蓮さん» ありがとうございます!なかなか沖田さんとキャッキャウフフが出せなくてすいません!更新頑張りますね! (2014年8月25日 1時) (レス) id: a0f37bd9af (このIDを非表示/違反報告)
蓮 - 面白かったです、更新するのを楽しみにしていますね! (2014年8月23日 21時) (レス) id: 0314cd72e9 (このIDを非表示/違反報告)
ちびねこ - 霧風 晴介さん» ありがとうございます(´ω`*人)そこまでストレートに言われると照れちゃいます(≧艸≦)キャッ (2014年8月14日 1時) (レス) id: a0f37bd9af (このIDを非表示/違反報告)
霧風 晴介(プロフ) - 更新頑張ってください!私はこの作品好きです(=゚ω゚)ノ (2014年7月17日 20時) (レス) id: ce6b1caa6d (このIDを非表示/違反報告)
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