夢でもあなたを想う 3【ふしぎ遊戯】 (ページ35)

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137話ページ35

「お二人ですか。はいはい、確かに見ましたよ」

柳宿に支えられ、井宿は交代で宮殿内に戻ってきたびしょ濡れの衛兵の言葉を聞いていた。どうしても情報を集めたいと言ってきかなかった井宿に折れ、一緒に手近なところを潰すことを了承してくれたのだ。

「宮殿の外に出たってこと？」

「はい。詳しくは聞きませんでしたが、ちょっとそこまで……と、仰って」

「えーっ！バッカ！何で行き先聞いてないのよー！？」

「は……！はっ！も、申し訳ありませんっ！」

泣きそうな顔で半歩下がった彼の体躯は、柳宿よりもずっと立派だ。そんな男を怯ませるのだから、柳宿の怒鳴り声と勢いがどれほどだったかは言うまでもない。

「柳宿、彼を責めても仕方ないのだ」

井宿が静かにため息を洩らすと、衛兵は事情を聞きたげにそわそわして二人を見比べていた。

「翼宿の事なのだ、仮に彼が駄目だと言っても素直に聞くわけがない」

「あのバカタレ……次会ったら骨の一本くらいへし折ってやる」

「あのう、まずかったでしょうか……」

諦め、怒り、困惑。三者三様の発言で、全く会話としては成り立っていない。

しかし本当に、何処へ行ってしまったのだろうか。こんな時間までとどまれるような場所が、歩いて行ける範囲にあったか……？