夢でもあなたを想う 3【ふしぎ遊戯】 (ページ33)

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135話ページ33

「井宿さん！？」

突然隣を駆け抜けていった井宿を掴み止める事も出来ず、張宿が大きな声をあげた。それでも構うことなく向かうのは、Aの寝室だ。

了解をとるのももどかしく、井宿は黙って扉を押し開けた。青白く照らされた寝台の上に、彼女らしく几帳面に畳まれた寝間着がぽつんと置かれている。

あの女の言うことは確かだった。呼吸を整えながら、脂汗を拭ってあれこれ考えていく。こんな時間に彼女は一体何処へ行った？何か心当たりは？

――わからない。

「井宿、何事だ！状況がさっぱり分からん！」

星宿と張宿が追い付いてきて、次いで柳宿がしかめっ面で現れる。二人に起こされて出て来たのか自発的にかは知らないが、どうも今の今まで寝ていたらしい。神経が太い男だ。

「ふぁあ……。んもう、さっきからうるっさいわねぇー、何かヤバイこと起きたの？」

「……居ない」

言えたのはそれだけだった。

「居ない？Aが？どういうことだ、このような時間に」

「僕も執務室にずっと居たので気付きませんでした。あの、何か心当たりはないんですか？」

「さっぱりなのだ……」

右足の爪先で床を数回叩いて苛立ちを逃し、思案する。でもやはりこんな時間では行き先など分からないわけで、井宿は顔を上げた。