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106話 ページ4

風邪で寝込んでいるはずの人間の部屋から妙な音が聞こえるなど、いい予感はしない。倒れた?それとももっと別の何か?

理解するよりも早く行動を起こした翼宿だったが、扉の前まできたところで思い直し、時間を考慮した抑え気味な声をかける。

「おい、井宿ー。おるか?」

いないわけがないのだが、何故か返事はなかった。少しだけ悩んだ後、翼宿はおもむろに扉を開ける。Aと同じように、彼もまた井宿の状況が気になったのだ。もし何もなければそれでよい。

「お……、」

翼宿は呻くように言って、息を詰まらせた。

「翼宿、どうし……」

「お前は来んなっ!」

放った怒鳴り声の鋭さにAがびくりと震えたが、この際そんなことはどうでもよかった。ただ、翼宿は今目の前にある光景にひどく腹を立てている。

「翼宿……っ!」

寝台から僅かに背を浮かせて激しく咳き込んだ井宿と、それにのし掛かるようにした体勢のまま不愉快そうに目を細めた女。薄暗がりから三つの目が同時に、翼宿を見ている。

――こんな時間、この部屋に、A以外の女がいるなんて。

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作者名:花鈴萌 | 作者ホームページ:http://なし  
作成日時:2021年11月21日 20時

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