104. ページ12
.
「伸びてきたねー、そろそろ切ろっか？」
『うん！』
「切れるのは、私とあなたの＿＿＿＿＿だけだからなぁ」
いつもと同じ森の中、外で動物達と戯れながら母と会話を交わす僕。
…ああ嫌だ、この夢は見たくない。
記憶にないものだから、人の記憶から見たものだから、夢に見たことなんてなかったのに。
お願いだから、この夢だけは、やめてっ…
そう思いながら耳を塞ぐものの、どうしてもその声は耳に入ってきて。
「…久しぶりだな」
「え…？どうして、此処に…！」
刃物を手に持た現れたあの人は、僕と母を睨んでくる。
僕は何も意味なんて分からず、ただただ彼の持つ刃物に恐怖を抱くしかなかった。
「お前が悪いんだ、お前が…あんな奴と結婚したから…！」
「やめて！…遥！！」
僕を抱き締めた母から噴き出す、大量の血。
母は僕のことを守ったために、その綺麗な髪を血の色に染めて、涙を流して命を落としてしまったんだ。
涙を流しながら僕の頬に手を添える母。
「ごめんね、遥…あなたの力は───────」
…普段なら、この後の言葉は聞こえて来なくて。
それなのに、何故か…今日だけは、その声が聞こえた。
「きっと、多くの人を救うことが出来る。多くの人を、笑顔に出来るものだから…」
『お、かー、さ、』
「今だけは、その力であなたの記憶を隠して…靄の中にしまっておいて……あなたは何も、悪くないから…」
『やだっ…』
「…こんなお母さんでごめんね、…お母さんのせいで、苦しめてごめんね…」
綺麗に輝く瞳を涙に濡らした母は、確かにそう言った。
…その時、目の奥が熱くなったような気がして。
溢れる涙に、それが理由なのだと思い込んで。
「…A…私の愛しい愛し子…自分を責めないで…どうか、幸せになって…」
『おかーさん！！』
冷たくなって行く母は、命を落としてしまうその瞬間まで僕を抱き締めていてくれた。
…そして、本当の本当に最後になる時…優しい笑顔を見せて、言ってくれた。
「…愛してる、A」
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 915人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ツイステ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Runa☻ - このお話最ｯｯｯｯ高に大好きで尊くて作者様天才ｯｯ！！！！ (2023年4月30日 12時) (
レス) @page41 id: e8de5457df (このIDを非表示/違反報告)
たろ。(プロフ) - ないたわぁみんなカッコ良すぎるしアズくん…ゆうくん良い男だしレオナさん最高すぎ… (2022年3月23日 5時) (レス) @page41 id: ba071d904f (このIDを非表示/違反報告)
長月 - 本当に最高でした…。いろんな伏線が貼ってあってそれを回収していくのがめちゃくちゃおもしろくて、感動しました！！ (2020年11月13日 4時) (レス) id: 677a311103 (このIDを非表示/違反報告)
名無し6853号(プロフ) - あぁ........この作品は尊すぎます。この作品に出会わせてくれてありがとうございます！ (2020年11月2日 2時) (レス) id: ce469f6b4f (このIDを非表示/違反報告)
きのこ - 邪魔すんぜ、ジェイド最推しの者です。いや､､、この小説は､､、神っすね (2020年10月23日 16時) (レス) id: 2a559184c7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
