【HQ】第二王女は家出をしたそうです【王国パロ】 (ページ8)

今日:3 hit、昨日:10 hit、合計:3,898 hit

メイドデビューですページ8

｢改めて、俺はここの執事長の北信介。もっかい言うけど、浅井めいとして、働いてもらうことになるんやけど…ちゃんとバレない方法、考えてあるんやろな？｣

そう言われてビクッとする。そうだ、まさかイナリザキ王国の王宮でメイドとして働くなんて思ってもいなかったから…！

｢それは考えてないって顔やな。｣
｢はい…｣

申し訳ない気持ちでいっぱいな返事をする。すると、北さんは席から立って部屋の中央にある仕事机の引き出しから何かを取って私に手渡した。

｢これは…メガネですか？｣
｢そや。度は入って無い。あとは髪でもしばって、制服着れば結構誤魔化せると思うで。なんせここの国民はあんたの顔なんて白黒な新聞ぐらいでしか見たことないからな。｣

｢あ、ありがと｣
｢それより、｣

私の言葉を待たずに北さんは口を挟む。

｢A、家事はできるんか？｣
｢あ…。｣

家事なんてやったことがなかった。それどころか、見たことさえないかもしれない。…いや、1、2回ぐらいは見たことある気がする。でも、それぐらいなのだ。
そんな様子に気づいたか、北さんは、はぁとため息を一つついた。本当に申し訳ない。

｢家事は俺が今日全部教える。まぁその後は…わかんなくなったら俺に聞いてもええし、ほかのやつに聞いてもええ。｣
｢ほんっとうにありがとうございます！｣

と、頭をこれでもかと言うほど、下げた。…なんだか、侑がこの人に敬語を使う理由がわかる気がした。