執事長とご対面 その�� ページ7
｢え…？｣
なんで？どうして？困惑してると隣の侑が｢やだな〜北さん、そんなわけ…｣と誤魔化していた。
｢まぁ、部屋ん中でじっくり話そうや｣
そう執事長は言うと一旦掃除道具を片付けて部屋の端っこの方にある椅子と机の椅子を引く。私たちがそれに座ったのを確認すると、扉を閉め、自身も座った。
｢まずその服。カラスノ王国でしか生産されていない絹が使われてる。しかも、結構品質がええやつ。やから、カラスノ王国の令嬢あたりやと分かる。んで、今朝侑が捕まえたやつ。｣
｢俺が捕まえたやつ…？そいつらが、どうしたんです？」
｢そいつらがカラスノ王国の第二王女がうんたら〜っとったからな。そこが主な推測や。で、あんたは本当に朝露Aなんか？｣
真っ直ぐ、私のことを見つめる。ああ、蛇に睨まれた蛙ってこう言うことなんだな。執事長はキタギツネっぽいけど。…そんなことを考えている場合じゃ無い。この人にはどうやら言い訳は通じなそうだ。
｢はい…そうです。｣
深く被っていたフードをガバッととる。
｢あんた、帰るところがあるんやろ？家族とかが心配しているんちゃう？｣
心が針で突かれいるようにチクチク痛む。あの人たちが私を心配？きっとしない。今頃適当に捜索要請を出していて、自分の仕事にさっさと取り組んでしまうだろう。
｢そんなことないです…。なら、今頃家出なんてしてませんから。｣
｢A…｣
隣の侑が心配そうに呟く。私は今、どんなひどい顔をしているんだろう。
執事長は一息つき、口を開いた。
｢…まぁええ。浅井めいもとい朝露A、あんたを今日からここのメイドとして雇う。｣
思いもしなかった言葉に｢え？｣と私も侑もたいそう間抜けな声を出す。
…とりあえず、よかった…のか？
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 9人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：茉凛 | 作成日時：2022年8月20日 21時
