【HQ】第二王女は家出をしたそうです【王国パロ】 (ページ5)

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イナリザキ王国王宮ページ5

(と言われて1時間ぐらい経ったけど…)

たった今私は侑に｢とりあえず、こいつらを突き放してくるから｣と言われ、待たされている。
…王宮の裏口前の茂みで。

(何これ！？足痛いし、まぁ確かに見つかりはしないだろうけど…)

侑は子分二人を抱えて裏口から入ったまま、かえってこない。もう辺りはすっかり明るく、人の声もちょっと聞こえてくるようになった。

｢A、待たせたな。ほないくで。｣
｢待たせたなって…あーもう、足が痛い。｣

茂みの中を覗いてヘラヘラする侑に少し不満がこぼれたが、フードをまた深く被り直して、裏口から中に入った。

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｢…ねぇ、侑。｣

あたりに誰もいないのを確認して、話しかける。廊下のステンドグラスから、朝日が漏れ出していた。

｢ん？どうしたん？｣
｢なんでいきなり住む場所を紹介するって言ったの？…バレたら結構まずいんじゃ…？｣

心の中でモヤモヤしていたことを言うと侑は｢んー｣と少し考えた後に、一旦足を止めてこっちへ向き直った。

｢Aが愚痴言っとる時、なんだか辛そうやったし。なら、Aを救いたいな〜…なんて。あー、なんやこれ、むっちゃ恥ずい！｣

顔を赤くしてバッと向き直ってさっきより早い足取りで進んでいく侑に、｢ちょっ、待ってよ！｣と声をかけて駆け足で追いつく。

(…救いたい、かぁ)

なんだか昔一度だけ味わったことのあるような。そんな温かさを感じた。