夜明け、2人 ページ21
トントントンと木が拳で叩かれる音で目が覚める。外の景色をみればまだ暗かったので、こんな時間に誰だろうなぁと不思議になったため、メガネをつけて、ドアノブに手をかけた。
｢なんですか…って侑？こんな時間にどうしたの。｣
｢いや、なんかな〜話したいって思ってな｣
なんだか侑に違和感を覚えながらも、なんだか目が覚めてしまったので、付き合うことにした。
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大広間のバルコニー。ここで話すことになった。夜風が頬を撫でる感触が気持ちいい。いつもは人がいて賑やかな大広間も、夜明け前となれば、日中のうるささが嘘みたいに静か。
大広間は嫌いだ。今でも周りに比べて孤独な私が、鮮明にそこにいるみたいに現れる。惨めで哀れだ。
｢で、話ってなんですか？｣
｢それはな…｣
侑の顔が暗くなっていく。なんだか、私が家族のことを語る時に似ている気がする。
そのまま、侑の言葉を待った。
｢俺ら、双子やろ？だから、どっちが王になるか決めないといけないんや。俺は別に王になる気はない。そう治にも伝えてあるし、治自身もそれでええって言っとる。でも…後悔しないか怖いんや。｣
初めてみる、侑の弱った顔。助けてくれた時の、堂々とした顔や、普段の子供っぽい顔から、想像できないような。でも人間誰しも怖いものや恐ろしいものはある。
｢話してくれてありがとう、侑。｣
｢どういうことや…？」
｢そうやって自分の悩みを話してくれて。私って信頼されてるんだな〜って思った。｣
そういうと侑は下の方を見て、｢まぁ…そうやな｣と照れくさそうに言った。
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作者名：茉凛 | 作成日時：2022年8月20日 21時
