【HQ】第二王女は家出をしたそうです【王国パロ】 (ページ15)

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私の本音　その② ページ15

いい香りがする。きっとラベンダーだろう。心が落ち着く、私の好きな匂い。

｢落ち着いたか？｣

そのラベンダーの香りがする紅茶を淹れてくれた北さんに｢ありがとうございます｣と一礼して、一口飲んだ。

｢北さん、私まだ…第二王女っていうのに囚われているのかもしれません。｣

暗い声でいきなり話し始めてしまったが、北さんは黙って聞いてくれた。

｢…夢を見たんです。王国の家族や使用人と私のいつものような日常の。でも、それは私が家出して見つかった後のようで…私、怖いんです。第二王女なのに、こんなことしていいのかって。みんなに失望されるのが、とっても。慣れっこなはずなのに。｣

あぁ、まただ。またこのいうことを聞いてくれない私の脳みそは、涙を流せと命令したようだ。
今の私はどんなひどい顔をしているのだろう。

｢俺には、Aがどんなに苦しんで、どんなに怖いかはようわからん。｣
｢です、よね…ごめんなさい。｣
｢でも｣

北さんは椅子から腰を上げて立ち上がると、私の頭に自身の手を置く。そして、撫で始めた。

｢ここにはあんたを第二王女やからって責める奴はおらん。少なくとも、俺はお前のことを責めない。
今までよう頑張ったな。｣

優しく撫でられる頭、とても温かい言葉の数々。そして、北さんの安心する笑顔。さっきとは違う涙が頬を伝う。

(あ、なんとなくわかったかも。この心が温かくなる感覚。)

きっとこれは、私が“第二王女“じゃなくって、“1人の人”として、朝露Aとして見られているから。

北さんは、少し怖い。でも、それ以上に優しくって温かい。それを今日、よくわかった。