私の本音 ページ14
｢第二王女のくせに、家出なんかして。王国の恥め。｣
ピシャリ、といい音をたてて、私の頬を叩いた兄が家族を見る目ではない目で言う。
｢お前のような奴は、俺の娘じゃない。｣
父がいつものように視線を合わせずに、無表情で独り言のように呟いた。
｢Aちゃん、なんで家出なんてしたの！？あなたはやればできる子なんだから、ね？｣
姉がいつもの笑顔で言う。私には、それがとても気味が悪く思える。
｢あれが家出した王女ですって。｣
｢まぁ、ひどい。正気なのかしら？さすが、何もできないだけあるわね。」
クスクスと笑う使用人の陰口。
苦しい。嫌だ。誰か、誰か誰か。
｢っ…はぁ、はぁ…夢？｣
朝からため息をつく。最近、なにかと家出した私が責められる夢を見る。
｢なんなんだろうなぁ、これ。｣
また、はぁとため息をつき、枕元にあるメガネを取って床に足をつけた。
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こんな夢ばかり見るので、すこぶる調子が悪い。ぼーっとして、仕事が進んでないことに気づいてもまたぼーっとするの繰り返し。
｢いてっ｣
前を見てなくって何かにぶつかってしまい、反射的に目を閉じてしまう。何にぶつかったんだろう。そう思って目を見開いた。
｢あ、北さん！？ごめんなさい、つい…｣
｢大丈夫か、めい｣
｢えっ、あ、大丈夫ですよ、私は。それより北さんは…｣
｢ちゃう、あんた、涙でとるけど大丈夫か？｣
夢で兄に叩かれた方の頬を触ってみる。本当に湿っていた。
人間は、一度泣いているとわかってしまったら、もっと涙が溢れてしまう生き物だ。
星屑みたいな大粒の涙がポロポロと落ちてきた。
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作者名：茉凛 | 作成日時：2022年8月20日 21時
