【HQ】第二王女は家出をしたそうです【王国パロ】 (ページ13)

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双子の王子達　その② ページ13

とりあえず、すぐ近くにあった双子の部屋で話すことになった。座って事情を簡単に話す。

｢なるほど。家出をしたところ、侑と出会ってここで働くことになったと。そして、正体を知っとるのは侑と北さんだけ…ってそれ、かくまっとるってことやろ？バレたら…あー、どうすればええんや！？｣
｢治、ちょっと落ち着きぃや。｣
｢落ち着いていられるか、このアホ！｣
｢あ？｣

2人が揉め合いそうになっている横で私は静かに座って、帰ることになったらどうしよう。きっと色んな人に耳にタコができるほど怒られて…。

｢んでもまぁ、さっき朝露がいっとったことも気になるし。｣
｢私が言ってたこと…？｣
｢そや。本当は娘が～みたいなこといっとったやろ。多分、あんたの父親のことやと思うんやけど。｣
｢あぁ、そのことですか…｣

そういえば、人に家族のことを話すなんてしたことがなかったなぁ。そもそも、話す相手なんていなかったし。そう思いながら、口を開いた。

｢私の父は…娘のことになんてどうでもいい人なんです。そもそも、才能にしか興味がない人で、何にもない私には無関心なんで。昔、隣国に行ったことがあるんです。その時、父以外の人にはすっごく怒られたのに、父はただ、“もう2度とこんな馬鹿な真似はするな”と目も合わせずいっただけでした。｣

どんどん、私の知っている父親像が口から溢れてくる。虚勢を張っている、軽薄男の姿が。

｢なんや、その父親は！？｣

いきなりの治王子の大声に暗い過去にいた私を現在へと引き戻した。

｢えぇか、A。あんたは何にもなくない！だっておにぎり作ってたときやって形が崩れたらすぐに気づいて直したやろ？それが、Aのええとこや。一生懸命で、丁寧なんや。やから、Aは俺らと一緒に美味しいもんたくさん食って暮らせばえぇ。なぁ、侑？｣
｢美味しいとこ全部持ってかれたわ。｣
｢ありがとうございます…侑、治王子。」

そう言うと、治王子は｢俺も治でええのに…｣と口をとがらせていった。
ふと、侑の｢救いたい｣という言葉が浮かんでくる。
もしかしたら、私は今、救われているのかもしれない。そう思うと思わず笑みが溢れた。