どこにも災難は転がっているようで。 ページ2
幼少期、結構な頻度で街へ出歩いていたから、駅までの道のりはわかる。
｢えっと、ここはカラスノ王国。汽車でチュウブ州までいけるから、そっから馬車でイナリザキ王国へ！よし、完璧！｣
長年本などの資料を読んで組み立てた道を確認する。駅につけばちょうど汽車が来る頃だったので、乗り込んだ。
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｢ここがイナリザキ王国…！ここで私の新しい生活が始まるんだっ！｣
長い長い道のりだったため、もう少しで日の出だ。徐々に明るくなっていく辺りを、希望に溢れた瞳で見ていた。
｢お嬢ちゃん。｣
でも、そんな心はその一言で壊されることとなる。
振り返ったら、ニタニタした男が3人。なんとなくの雰囲気で、話しかけてきた真ん中がリーダーなんだろう。
｢随分といい品質の服を着ているようなんやけど、どこかの令嬢かなんかか？｣
｢なんですか？私、急いでるんで。｣
そう言って逃れようとしたけど、リーダーっぽい人に腕を掴まれる。
｢いっ…｣
｢おっと、逃げんなや。｣
その瞬間、ブワッと風が吹き、フードが取れてしまった。
｢しまっ…｣
｢あ、兄貴！こいつ、カラスノ王国の第二王女やで！｣
｢ほんまや！兄貴、こいつは身代金がガッポガッポや！」
また、ここでもだ。“第二王女“って言うものが、私のことを阻む。いつまで、いつまでこいつに苦労させられるんだ。
(誰か…！)
｢おい」
と、また誰か男性の声が聞こえた。つぶってしまっていた瞳をゆっくりと開ける。そこには、
金髪の、何を隠そう、イナリザキ王国の王子がいた。
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作者名：茉凛 | 作成日時：2022年8月20日 21時
