四話 ページ4
すると兎耳のやつは人間の足元に縋るようにして
「人間さん、僕この子と話したいな♡」
と、猫なで声で言った。
「えーん、どうしようかなぁ…あ、そこの狐の獣人くんがおねだりしてくれたら外してあげなくもないかな♪ どうする？」
人間がそう言うと、兎耳のやつはこちらを向いてじっと見つめてきた。
おねだり、が何なのかは知らないが人間の指図は受けたくない。
だがその邪魔な口の布が取れるのなら…という気持ちがせめぎ合っていた。
すると兎耳が近づいて来てこう耳打ちしてきた。
「ここではプライドとか捨てた方がええで」
低脳な草食が、プライドを捨てては種族の名が廃る。
死ぬまで誇り高くいろというのが教えだ。
だが、自由に行動しろというのも教え…これはどちらを優先すべきだろうか。
「…やらないのか〜ざーんねん、まぁ外してあげるよ。今日は解いてあげる日だしね」
「そうだったっけ！」
「そうだよー、あ、君は今日お披露目だからね。髪の毛とか結ばないとだから
一時間後くらいに部屋に来てね」
人間はそう言うと兎耳に鍵と小さな時計を渡して俺の方に近付いてきた。
後頭部に手を回したと思ったらカチャカチャという音がした後口にあったものが外れた。
そして透明な水の入ったコップを渡して檻から出て行った。
『ふぅ…やっと外れた……』
そうして兎耳の方を向くと無言で俺の髪に手を伸ばしてきたためその手を叩き払って
歯を見せて尻尾をぴんと伸ばして唸り声をあげて威嚇をした。
「そんな怒らんとって？な？」
『何をしようとした』
「ほら、髪の毛ぼさぼさやん？ブラッシングしてやろうと思ってな…」
そう言われ兎耳の手を見ると櫛を持っていた。
だがあまり中の深くないものからのブラッシングは好きではないということで断らせてもらった。
『自分で出来る』
そう言って自分の髪の毛の間に手を入れて髪を解く。
尻尾も忘れずに。
そして暫く無言が続いているが兎耳が口を開いた。
「なぁ、あんた名前は？」
『お前から言え』
「ウツと申しますぅ」
ウツ…そうなのかと思い、兎耳のやつはウツという名前だと言うことを頭にいんぷっとする。
あと、ウツには申し訳ないが名前を教える気は更々ない。
ut「…名前言ってくれんの！？」
『俺は言うとは言ってない。』
ut「え、しんらちゅ…じゃあ何て呼べばいいん？何とでもっていうならこっちで決めていいよな、あんがと」
じこかいけつしやがった。
まぁ確かに言うつもりだったが
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