9話 ページ10
クスッと笑ってしまえば恨めしげに睨まれたが、優しく頭を撫でながら再びリッズくんを膝の上に乗せる。
翼「いいから。Aが持ってて?」
俺に再び返そうとするも抱きかかえるようにAの手をリッズくんのお腹へと回させる。
そして俺もリッズくんの尻尾を撫でればポツリと本音が漏れる。
翼「リッズくんってさ、羨ましいよね。皆から抱っこしてもらったりさ」
俺の呟きを聞いては相槌を打つA。
気を取り直しグラスに氷、炭酸水とアルコールを注ぐ、そして半分に切ったレモンを絞り機で絞る。
レモンサワーが完成すればお互いグラスを持ち乾杯をしてから口をつける。
喉が乾いていたからというのもあり俺は一気に半分くらいまで飲み干す。
翼「ぷはぁ〜!やっぱ仕事終わりのお酒って最高だね!」
なんだかオヤジくさいことを言った気もするが俺の言葉に同意するようにAも頷く。
「本当に…!オフの日に飲むのとまた違った美味しさがありますよね。」
翼「それなー。あと、一緒にいる人も重要!」
好きな人と飲むから尚のこと美味しく感じるのだがハッキリとは言わない俺の言葉に首をかしげながら謝られる。
「あー、確かに。……私なんかですみません」
翼「…はぁ!?何言って…、あのさ。Aって鈍感?俺は今すごい楽しいし、一緒にいられて幸せだって感じてるんですけど?」
確かに遠まわしな言い方だったかもしれないが…自分なんかで、という言葉に驚いてしまいAは鈍感なのかと聞けばムッとした顔をされる。
「鈍感って…んなわけないじゃないですか!こういう風に恋愛に疎いキャラを演じてるの!つばちが私の事気にしてるのわかってるし!」
何故疎いキャラを演じているのか気になったが、それよりも俺の好意に気付いていたのかと恥ずかしくなってきては言葉に詰まる。
しかし負けたくないという気持ちが出てきてはどもりながらも言い返す。
翼「し、知ってたのに知らないフリとかタチ悪くない!?あーもー!!そうだよ、俺はAの事が好きだよ!悪い!?」
ガーッと捲し立て勢いに任せて好きだと告白すれば今度は彼女が言葉に詰まった。
「わ、悪いとは言ってないし!ていうか私だって少なくとも先輩の事気に入ってるからこうしてついてきた、ん…だけど…です…」
敬語も忘れAはタメ口で言い返してきたが、段々と語尾が小さくなってきては顔を赤く染め俯いてしまう。
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作者名:るーこ | 作成日時:2018年8月14日 15時