39話 ページ41
2017年2月14日ー16:37
あの日彼女と一線を越えてから1ヶ月弱が経過した。
一般の人にバレたり記者にバレたりといった事はなく順調に恋人として日々を過ごしている。
そして今日はバレンタインデー。
女の子が好きな男の子やお世話になっている友達とかにチョコレートを贈るイベント。
それなのに…
ツキノ寮ーSolidS共有ルーム
共有ルームのソファーで横になり携帯を弄る。
ラジオの収録と後日行うロケの話し合いだけで今日の仕事は終え、皆の帰りや彼女からの連絡を待っているのだが…時間だけが過ぎていく。
仕事が終わったことを知らせるメッセージを送り、了解スタンプだけきてそれ以降は音沙汰が無い。
テレビをぼーっと眺めていれば部屋のドアが開く音が聞こえてきた。
里「ただいまー。あ、翼、もう帰ってきてたんだ。お疲れ様」
大「お疲れさん。…って、暇そうだな」
声の主を確認すれば里津花と大ちゃんだった。
おかえりと返事をすればテーブルに小さな包みを数個置く二人。
バレンタインデーだしスタッフとかからの贈り物だろう。
俺も貰ったし。
翼「バレンタインのやつ?」
里「うん。メイクさんからとお世話になってるスタッフさん、あとAちゃんから」
翼「え!?Aからも貰ったの!?」
Aという名前を聞き慌てて起き上がる。
大ちゃんも貰ったらしいAからのお菓子を食べようとソファに腰掛け包みを開け確認。
大「お、チョコチップクッキーだ。……なんだよ翼、まだ貰ってないのか?」
「貰ってませーん。しかもA本人にさえ今日はまだ会えてないしー」
クッキーを食べる大ちゃんを不機嫌そうに睨みつければ渡さないと言いたげに顔を逸らされる。
甘いもの好きだし、くれないってのは予想できたけど…なんで俺の前でAのを食べるんだよー。
俺の心情を見透かしてか里津花が気を遣って俺に一つクッキーをくれた。
多分Aの手作りクッキー。
翼「美味しい…Aの味がするー」
里「翼…その言い方はちょっと…。ん、でも本当に美味しい」
里津花の入れてくれたココアを口にしつつ彼女のお手製のクッキーを一つ頬張れば思わず笑みがこぼれる。
三人で雑談をしていれば携帯の着信音が鳴る。
翼「Aだ!やっと仕事終わったのかー。あ、里津花ありがとな。んじゃ、俺部屋行くわ」
二人に手を振り足早に部屋に向かいつつ電話に出る。
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作者名:るーこ | 作成日時:2018年8月14日 15時