カナリアからの贈り物 (ページ33)

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31話ページ33

ーA視点ー

Aです。奥井先輩と一緒に寝ようと思ってベッドに座っているのですが、先輩はモジモジしているというか…緊張しているご様子。

どうしたものかと考えて数秒、自分の両手を広げてみる。
私の一挙一動に反応を見せる先輩。
顔が赤い気がする。

「おいでー」

先輩の息を呑む音が聞こえ…やがて乱暴に自分の頭をガシガシと掻く。

翼「忠告しとく。一緒のベッドで寝るってことは…どうなっても文句言えないんだからな？」

私の目の前に腰を降ろし真剣な表情で言われる。
まぁ、付き合ってるんだし…少しは覚悟しているつもりだ。
はいはい、と軽く流せば文句を言いたげに眉間に皺を寄せる先輩。
そんな彼の腕を引き寄せては金色に輝く髪を撫で頭を包み込むように抱きしめる。

翼「～っ、ホントにわかってんの！？今やってる事も俺を煽ってるようなもんだからね！？」

焦ったような声を出すも私から離れようとはしない辺り、嫌ではないようだ。
額に軽くキスをしてから彼を解放する。

ベッドに潜り込めば先輩も一緒に入ってくる。
抱き枕にすると言ったので有言実行しようと思い抱きしめればドッドッと早鐘を打っている心臓。

「何するのかしりませんが…私は眠いんで寝ますよ。おやすみなさーい」

彼の心臓の音が早くてあまり落ち着かないが、瞼を閉じれば直ぐに睡魔が襲ってくる。

翼「ずるいなぁ…。明日の朝…襲っちゃうかもだから覚悟してて。おやすみ…ハニー？」

夢の世界に行く間際先輩に耳元で囁かれた。
おやすみ、ダーリン…。本人を前にしては絶対言えない台詞を心の中で呟く。

ー翼視点ー

おやすみ、と言ってからAは直ぐに眠りに落ちていて、俺も本当なら寝なきゃいけないんだけど…

翼「寝れない…」

つい数時間前まで俺が片想いしていた女の子。
そんな彼女の無防備に眠る姿など見て正常でいられなくなる。

さすがに寝込みを襲うなんて男としてどうなんだ、と心の中でツッコみ、これくらいなら許してくれときめ細かな白い頬をつつく。
…起きない。

唇をぷにぷにと指で突く。
……これも起きない。

唇の触り心地が良くて更に突いてみる…と、眉間に皺が寄る。

「ん"ー…」

唸り声をあげるも目は開かない。
慌てて手を引っ込め頭を優しく撫でれば寄っていた皺が元に戻る。

反応が楽しくてつい遊びすぎてしまった…イタズラしていた頬と唇にそっと口付けてから俺は目を瞑った。