25話 ページ27
ーA視点ー
トイレから出ては洗面所で手を洗ってから皆の待つ共有ルームへと戻ろうとしたら大くんの部屋の扉が開いた。
「わ、びっくりした…。まだ寝てなかったの？」
大「ん、まぁ……それよりさ、翼と何話してたんだ？」
大くんに先輩との事を聞かれなんて答えようか迷っているとふっと口元を緩ませ頭を優しくポンポンされた。
大「悪い。何話してたか答えなくてもいい。ただ…言っておきたいことがあってさ」
言っておきたいこととはなんだろうかと首を傾げれば撫でていた手を離し言葉を紡ぐ。
大「無防備過ぎ。信用してくれてるのは嬉しいけど、俺達皆男だから。飲みすぎてへにゃへにゃしてたら食われちまうぞ」
コツンと軽く額を小突いて忠告しそんだけ、と言ってから部屋の扉が閉まる。
大くんの言葉を胸に一つ息を吐き出してから再び部屋の廊下を歩きだす。
私が共有ルームに戻ると一番に先輩と目が合った。
先輩が私と目が合うなり顔を赤くするもんだから思わず視線を逸らす。
大くんがいないので先輩の隣が空いているからと私を彼の隣に座るよう里津花さんに促され、若干気恥しさはあるも隣に腰掛ける。
志季さんが作ってくれたレモンサワーを飲みながらも四人で他愛のない会話をしていれば少し、また少しと時間は過ぎていく。
志季さんに煽られお酒を飲んでいれば再び酔いが回っていきつつ、時間も遅くなっているのに気付きそろそろお暇しようかと思い席を立つ。
翼「あー…そろそろ帰る？遅いし、送ってくよ」
案の定というかなんというか、送って行ってくれるらしい先輩の言葉に頷く。
二人に挨拶を軽く済ませ先輩の部屋に置いておいてもらっていた上着や鞄を身に付け寮を後にする。
暫く無言で並んで帰り道を歩いていれば最初に沈黙を破ったのは先輩の方だった。
翼「あのさ、さっきの…あれ…キス、クリスマスプレゼントって言ってたけどさ。正直の所どういうつもりでしたの？」
いきなりピンポイントで答えにくいことを聞いてきた。
いつもの私なら適当に流す所だが、数十分前彼と向き合おうと決めたからかすんなりと言葉が出てくる。
「好きだから」
翼「……え？」
私の答えに驚いたように足を止める先輩。
今まで一度も彼に言ったことの無い言葉、そのせいか聞き間違いかと疑っているようだ。
「聞こえなかったなら、忘れていいです」
私の気持ちを再度確認したいのかもう一度言ってくれとお願いされる。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 32人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：るーこ | 作成日時：2018年8月14日 15時
