2話 ページ3
ーSolidS、共有ルーム
珍しく9時過ぎに起きて共有ルームにある冷蔵庫から里津花が作ってくれた朝食をレンジで温めご飯を食べる。
Aに初めて会ったあの日から二週間が過ぎた。
大学ではもちろん、事務所でも会うことはなかった。
翼「本当に同じ事務所にいんだよな?なんで会えないの?」
深いため息と共につい愚痴がこぼれる。
しかし、返ってくる言葉はない。
志季は打ち合わせやらなんやらで不在、里津花もモデルの仕事らしくて不在。
大ちゃんは今日はオフって言ってたけど寮にはいないので、多分ランニングかな?
朝食を食べ終え後片付けをしてからコーヒーを注ぎテレビをつけながらソファーに座る。
画面の中には俺の会いたくて仕方のない女の子、Aの姿が映る。
シャンプーのCMだろう、長い髪の毛をファサーってしてるのを眺める。
可愛いし綺麗…声も透き通るような声だし、改めて好きだなぁって思う。
しばらくニュースを見ていれば聞き慣れた声が聞こえてきた。
大「翼…起きてたのか。こんな早く起きるなんて珍しいな」
大ちゃんに軽くおかえりと挨拶をしてから再びコーヒーを口に含む。
汗をかいたのだろう、自室に入って数分後に普段着に着替えてから共有ルームにやってきた。
コップにお茶をいれてから俺の隣側のソファに腰掛ける。
翼「大ちゃーん…Aちゃんに会って二週間経ったのにあれ以降会えてないんですけど!?…なんで?」
本日二回目のため息と共に悩みをこぼす。
大「なんでって…俺に聞かれてもな…。ゲームとかでよくあるなんとかセンサーってやつじゃないか?」
なんとかセンサーとは恐らく物欲センサーのことだろう。
欲しいと思えば思うほど出てこない、神様のイタズラみたいな…そういうあれ。
ゲームじゃないんだから…と諦めきれない思いを胸にしつつ苦笑いを浮かべれば大ちゃんは言いにくそうに口を開く。
大「……Aと、あとで会うけど」
翼「は…!?え、ちょ、なんで!?そんな仲良しなの!?ずるい!!」
大ちゃんから予想外の事を言われたのでずいっと顔を近づければ落ち着けと言わんばかりに引き剥がされた。
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作者名:るーこ | 作成日時:2018年8月14日 15時