18話 ページ20
買い出し組とご飯担当組、飾り付け組の3組に分かれる。
ご飯担当は里津花と大ちゃん、飾り付けは俺、買い出しは志季。だったんだけど…Aのドーナツ事件があったので俺と志季の役割が変わる。
なので買い出し組は俺とA。
買い出しを終わらせてから飾り付けを手伝う…って感じ。
本当はAはお客なのでのんびりしてもらうつもりだったのだが、二人きりになれたしこれはこれで嬉しい。
俺達は事務所の外でバラけることになった。
三人は寮に、俺とAは駅の方へ。
冬ということこともあり気温は低い、Aが寒そうに自分の手を擦り合わせている。
翼「翼お兄さんの手暖かいよ?繋ぐ?」
「見られたら大変ですから」
寒そうにしている彼女を見ては手を差し出すが当然のことながら断られてしまう。
見られたら、という理由だが今日はクリスマス。
周りはカップルも多く自分達の世界に入り込んでいる人が沢山だ。
翼「えー…皆自分達のことで頭いっぱいだから大丈夫だと思うけどなー」
残念そうに溜息を吐いてからコートのポケットに手を入れる。
イルミネーションがキラキラと輝いている街中を眺めていればヒヤッとした感触が手に伝わってきた。
「誰も見てないんですよね?今日だけ、特別」
恥ずかしそうに顔を赤く染めつつAが俺のポケットに手を入れてきたのでビックリして無言で見つめれば俯き気味にポソッと呟かれた。
思わず口元が綻びつつキュッとその小さな手を包み込む。
「本当に暖かいんですね…ホッカイロみたい」
翼「Aは冷たすぎ」
手を繋いだまま俺達はケーキやおつまみを買ってからドーナツを買いに行く。
何個でもいいとは言ったが、Aはドーナツを7個も買っていた。
帰り際一つ手に取ってはそれを頬張り始める。
一口強請ると半分に折り口をつけていない方を手渡された。
翼「アーンしてくれないの?」
いつもは人の口まで持っていくAだが先程の事を思い出したのだろう、何か言いたそうに見つめてから無言で頷かれた。
もう一度改めて謝罪をしてから俺達は寮まで帰った。
ドーナツを買ってからは手は離れてしまったが少しの間だけでも手を繋げて幸せだったと口元を緩めていれば視線を感じる。
「顔、緩みすぎ」
翼「Aと手繋げたからね。だから今、空いてる手が寂しい、かも」
「……ばーか」
悪態をつくAだがそのバカという言葉に愛がこもってた気がした。
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作者名:るーこ | 作成日時:2018年8月14日 15時