14話 ページ15
Aとの電話が終わった後、グラスを片付けていたら、里津花が帰ってきた。
翼「里津花、おかえりー」
里「ただいま。…あれ?誰か来てたの?」
グラスを洗っていたら誰か来ていたのかと聞かれたので先程までAがいた事を伝えれば、驚いたように瞬きを数回してから優しい笑みを浮かべる。
里「……翼ってさ、Aの事好き?」
俺の気持ちは本人以外には直接伝えていない、けど…周りをよく見ている里津花だから気付いたのだろうか。
好きなのかと問われ固まるとクスクスと笑われた。
里「わかりやすいよ?かなり。多分気付いてないのは志季くらいだと思う」
ガーンという効果音がつきそうなほどショックを受けるが、気付かれているなら話が早い。
里津花なら、Aが誰かと付き合わない理由を知っているかも…なんて思って話をしだす。
翼「さっきさ、Aに告った。Aも俺の事好きっぽい言い方したのに…振られた。里津花、なんか知ってる?」
グラスやお皿を洗い終わり缶ビールを2つ冷蔵庫から取り出し共有ルームのソファーに二人で腰掛ける。
俺の突然の告白に里津花は複雑そうな顔をしながらビールに口をつける。
里「サイトとかで調べたら出てくると思うけど、一応ね」
そしてポツポツと話し始める。
里「Aがまだ今ほど売れてない時…って、いっても朝ドラとかCMとかでも出てたし今旬!って感じだったんだけどね?ここから爆発的に人気も出るだろうって時に…熱愛報道が流れてさ。
最初は、この先もその彼と付き合っていく…みたいな話をしてた。
けど騒ぎが大きくなっていって…一般の人だから静かに見守っていてほしい、的なこと言ってたんだけど…多分、そうならなかったんだと思う。
ネットとかでもさ、Aが調子に乗ってるとか生意気だとか…まぁ妬みだよね。叩かれたりもしたみたい。学校の人が面白がってネットに彼の写真をアップしたりさ、それで次第に彼氏とはフェードアウトしたみたいで…そこで熱愛の話はおしまい」
終わりだと言いながらも里津花の顔はなんだか重い。
直感的にそれだけじゃない事がわかる。
翼「まだ、続きがあるなら話して?Aにどんな過去があっても、俺は覚悟出来てるし、大丈夫だから」
俺はAの事が本気で好きだ。
だから、どんな過去があろうと受け入れる覚悟は出来ている。
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作者名:るーこ | 作成日時:2018年8月14日 15時