10話 ページ11
お互いなんとなく気恥ずかしくなっては暫く無言、そしてお酒を一口飲んでから俺は口を開く。
翼「勢いに任せて言っちゃった気もするけど…。改めて言わせて?俺はAが好き。どこが、とか聞かれるとハッキリ言えないんだけど…だから…っ」
真剣な顔で告白すれば彼女は言いにくそうに視線を彷徨わせる。
そして、俺と付き合ってと言おうとしたが静止された。
「私も、先輩の事は嫌いじゃないです。どちらかと言えば先輩と同じ気持ちです。でも…お付き合いは出来ません…」
Aも俺と同じ気持ちだと言ってくれた、けど…付き合えないと…ハッキリ告げられた。
その表情はとても申し訳なさそうで、振られた俺よりAの方がとても辛そうに見えた。
まぁ、振られても諦めるつもりはなかったのである意味予想通りの返答なのだが…その表情が予想外で…どうしてなのかと問えば首を横に振り言いたくなさそうにする。
翼「付き合えない理由、教えてもらえないの?だったら俺…諦めないから。」
「っ…ほら、私達芸能人でしょ?だから…周りにバレたら大変…的な?」
諦めないとキッパリ言い切ったらため息を一つこぼし、明るい口調で話し出す。
翼「バレないようにするし、もしもバレたら祝福されちゃうかもよ?」
なんて、楽観的に考えている俺を軽く睨みつけるようにして見てくる。
そんな怒ることだろうかと思うもごめん、と謝れば再び深い溜息を吐かれる。
「私は、器用な性格じゃないんです。もし恋人なんか作ったら周りが見えなくなって…仕事に影響が出る。それに、先輩は今人気上昇中のSolidSのメンバーなんですよ?」
…確かに芸能人同士の恋愛は困難な事も多いだろう。
バッシングされたりはもちろん、記者にもつけられたり…プライベートでデートなんて滅多に出来なさそう…。
何より、やっと最近SolidSも人気が出てきてここからって時に…熱愛報道なんて出たらどうなるかなんて安易に想像出来る。
それでも…やっぱり俺はAを諦めたくない。
最初は社長から聞かされて興味本位として気になっていた。
中々会えないって事もあり尚更興味が湧いた、いざ会ったらその瞬間恋に落ちた。
まぁぶっちゃけ、一目惚れってやつ?
出会ってからもまた会えない日が続き、大ちゃんの気遣いで初めてまともに話した。
2ヶ月くらいしか経ってないのに、どうしてここまで恋焦がれるのか自分でも分からない。
分からないけど、堪らなく好きなんだ。
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作者名:るーこ | 作成日時:2018年8月14日 15時