1話 ページ2
10月12日19:38ーツキノスタジオ
あれは半年前のこと…俺は事務所である女の子とすれ違った。
「お疲れ様です」
淡いピンク色の長い髪を靡かせ通りすがりにぺこりとお辞儀をひとつしてから俺達SolidSメンバーの横を通り過ぎる。
通りすがりに俺と目が合ったがすぐに視線は逸らされマネージャーと共に奥の、彼女の楽屋へと入っていった。
実際に俺が会ったのはその日が初めてで、けど…うちの社長から耳にタコができるくらい聞いていたし写真も見せてもったこともあった。
大学も通っていて俺と同じらしい……一個下の女の子。名前は月野A。
ずっとずっと会ってみたかった彼女。
里「……さ、…ばさ、翼…！」
俺の名前を呼ぶ声にハッとすれば心配したような里津花の瞳と目が合う。
軽く謝りながらも大丈夫だと告げれば里津花は安堵したように息をつく。
志「翼が考え事なんて珍しいな。どうかしたのか？」
翼「んー…さっきすれ違った子、確か社長の姪っ子だよね？直接あったの初めてでさ…」
志「ああ、Aの事か？なんだ、会いたい会いたい言ってたくせに会えてなかったのか…」
彼女と今さっき初めて会ったことを言えば会えてよかったなと何故かお祝いしてもらった。
大「アイツはすごいよ。前に一回雑誌の撮影で一緒になったことあるけど…普段かなりぼんやりしてるんだけどさ。オンオフの切り替えハッキリしてて…とにかく、すげぇ。」
Aの事を褒める大ちゃんに同意するように頷く里津花。
志季や里津花はわかるとして…、大ちゃんまでもが会ったことがあって…俺だけ一度も話したことがなかったってのがすごい悔しい。
けど、こっから巻き返すんだ…！
今まで写真とか話とかでしか存在を知らなかった彼女と実際に会えたんだから、奥井翼、今日から……は、無理かもしれないけどなんとかして仲良くなる…！
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作者名：るーこ | 作成日時：2018年8月14日 15時
