●苦味13% ページ16
浅野君と共に校舎を出る。校門を目指していると、転入試験の時の様に坂からE組の生徒が下りて来るのが見えた。浅野君にも見えているだろう。
「浅野君、彼の人達がE組の?」
「ああ、そうだ。だが、あまり関わらない方がいい。
「う、うん」
其れが、関わってしまうのよねぇ。ごめんね、浅野君?
……というか、此の儘の速度で歩いてたら、普通に接触しないかしら?
私の予想通り、私と浅野君はE組と接触してしまった。浅野君はE組を睨み、E組はE組で咋に厭そうな表情をする。だが其の中で一人、面白そうに私達を見る人物が居た。
赤毛の少年___赤羽業だ。
「あっれれ〜?浅野君が女連れなんて珍しいねぇ〜。彼女?」
「転校生だ」
「俺ら知らないんだけど」
「A組の生徒だ。わざわざE組に教える必要性が無い」
「ヒドいなぁ〜」
赤羽君は嗤い乍ら私に近付き、ねぇねぇ、と話し掛けてきた。私は少し怯えた様に、は、はいっ、と云った。浅野君の制服の裾を握って。
「名前は?」
「い、伊藤Aですっ」
「俺、赤羽業。よろしくね〜」
「宜しく、お願いします」
「よろしくしなくていい。伊藤さん、帰ろう」
浅野君は私の手を引き、校門へと足早に向かった。そして振り向かずに、怖かったのなら言えば良かっただろう、と告げた。善いように解釈してくれて助かった。
「その、浅野君居たし大丈夫かなって…」
「!……そういう発言はあまりするな」
「ご、ご免なさい」
「別に謝れとは言ってない。今後気を付けろ、イイな?」
「うん」
んふふ、イイ感じに成ってきた♪でも、もっと仲良く成らないと駄目ね。
前期中間、遅くて修学旅行迄に距離をより縮め、浅野君からの信頼を得ないといけない。そしてイジメられるように仕向けて……。嗚呼、愉しみだ。私の策略に嵌り、踊らされている者の顔が早く見たい。
校門には以前と同じく車が停まっており、中也が居た。
「浅野君、私迎え来てるから……」
「ああ、また明日」
「うん、バイバイ」
手を振り、車に乗った。勿論助手席だ。発進しようとした時、伊藤さん、と浅野君が声を掛けた。
「何?浅野君」
「……学秀でいい。僕もAと呼ぶ。」
「……うんっ!」
今度こそ、車が発進した。
ドアガラスには不敵に嗤う私が写っていた。
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バンビ(プロフ) - ちっぺさん» コメントありがとうございます!!そう言って頂けて、嬉しい限りです!表現の仕方面白くて思わず笑っちゃいましたww更新頑張ります! (2017年5月17日 2時) (レス) id: fcb4695207 (このIDを非表示/違反報告)
ヲタク様(プロフ) - ちっぺさん» ありがとうございます!楽しみにして下さっている方がいるのが分かり、凄く嬉しいです!脱スランプになり早く更新するようにします! (2017年5月16日 20時) (レス) id: 110a1a14b8 (このIDを非表示/違反報告)
ちっぺ(プロフ) - この小説とても好みで面白いです。更新がんばってください、更新されたらば私は舞い上がって馬の上でコサックダンスを踊り出してしまうかもしれないぐらい好きです(^ω^) (2017年5月16日 17時) (レス) id: 74c0eac0d3 (このIDを非表示/違反報告)
バンビ(プロフ) - のんのさん» コメントありがとうございます!!そう言って下さり、嬉しい限りです!しかも応援まで…!これからも頑張ります! (2017年4月10日 2時) (レス) id: fcb4695207 (このIDを非表示/違反報告)
ヲタク様(プロフ) - のんのさん» コメントありがとうございます!これからも楽しんでいただけるよう、頑張ります! (2017年4月9日 22時) (レス) id: 12cd453bfc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ヲタク様 バンビ x他2人 | 作成日時:2017年3月30日 19時