逆ハーは別に狙ってない！【東リベ】

おかえりなさい.3 ページ47

それからひとしきり泣いた後、2人を家にあげる


ほぼ手ぶらな2人


向こうで使っていたほとんどのものは処分してきたらしく


財布と携帯だけを持って帰ってきた


私は2人の腕を組んでベッタリ引っ付いてソファに座る


右に竜胆、左に蘭が座る


2人は何も言わずずっと私のそばで私の話を聞いていた


喧嘩ができるようになったこと


バイクに乗るようになったこと


安井さんに子供が出来たこと


学校のこと


事件のこと


沢山のことをずっと私だけが喋っていた


2人はただ｢そうか｣、｢良かったな｣、｢うん｣と相槌を打っていた


途中何度か何か言いたげに口を開くが、その度に互いに制止していたが、私は話に夢中で気づいていなかった


ひと通り話し終わってハッとしたように立ち上がる


『ねね！2人ともお腹すいてる？？』


蘭｢ぺこぺこ〜｣


竜｢言われてみれば何か腹に入れたいな｣


『待ってて！！』


そう言ってパタパタとスリッパの音を鳴らしながら台所へ向かう


台所で準備したあと、温かいご飯を乗せた大きいお盆を持って2人の元へ戻る


『2人のためにご飯作ってみたの！どうかな？』


とりあえずそれを机に並べ不安そうに首をかしげて聞く


2人はきっと不味くても美味しいって言いそう


蘭｢これ、Aが作ったの？｣


『うん！！』


竜｢すげぇな....｣


私の成長に感動するように2人とも戸惑いながら箸を手に持った


ドキドキしながら2人がおかずを口に運ぶのを見つめる


正座したまま両手を握りしめて2人の言葉を待つ


口に入れ、咀嚼してから少し沈黙が流れる


『ど、どう....？』


何も言わない2人に不安になってついこちらから聞いてしまった


竜｢めちゃくちゃ美味い....｣


蘭｢わかる｣


蘭が語彙力を失ったオタクみたいになってしまった


それから2人が夢中でご飯を口に運んでいるのを横で見つめる


可愛い....


2人を見つめながら


なんか骨格が男らしくなったな


とか


箸の持ち方綺麗だな


とか


相変わらず美人だな


とか


そんなことを考えていた


3年の月日を感じさせないくらい空気は馴染んでいたけど確かに3年は流れていて


それがなんだか寂しいようで切なかった


もう私の中で2人は漫画のキャラじゃなくて今確かにここに存在する大事な人になっていた


なにか大きく変わったかと言われればあまり実感はないけれど推し愛とはまた違う感情があるのも確かで


微笑ましく思いながら2人を眺めていた

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