忘れ物 ページ11
・
都会のど真ん中。誰もなにも気に留めず足を進める交差点。俺はなにをしてきたのだろう。俺は…いったい誰なんだろう。何度も何度も考えても結論は出て来やしない。それもそうだ、_______記憶がないのだから。
どこで育ったのかも、なにをしてきたのかも、わからない。知っているのは性別と、建物に反射して見えた自分の顔と、今まで寝ていた場所がゴミ置き場だということ。
「…なんやねん。」
そして、関西弁が流暢だということ。
「くっそ…。」
俯き目にかかる前髪。知らない自分の声。少し冷たい手。
「お、兄ちゃん
綺麗な顔してるな笑」
「俺らといいことしようぜ〜」
「てか細くね？絶対締まりいいって笑」
…俺は何も知らんねん。何も。自分のこと、何も。
「…ええで」
知らない道を進んでついた知らないホテル。俺何されるんやろ、なんて見当はもうとっくについていたはずのに。涙が出てくるのはなんでだろう。
「亮ちゃん…？やっぱり、りょ、亮ちゃんだよね…？？」
ホテルの前で立つ俺に、誰かが話しかけてきた。しかも、俺のことを亮ちゃんと呼んでくる。誰だろうこの人…そう考えてたら男が俺の腕を掴んでホテルに入ろうとした。…知らん奴の身体を無駄にしてもうて、ごめん。そう心の中で呟いた。
「こ、この人と話あるんで！すいません！」
そしたら、俺のこと亮ちゃんとか呼んでた奴が震えた声で謝った後、少し湿った手で俺の手を掴んで走りはじめたから驚いた。…こいつなら俺のこと知ってるんかな。そう思ったら少し安心した。ってか、手汗。笑
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 115人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
こむ(プロフ) - アレンジのパスワードを教えていただけないでしょうか?? (2016年8月3日 23時) (
レス) id: be56d2398a (このIDを非表示/違反報告)
こむ(プロフ) - 野良猫、気になります！続き見てみたいです♪ (2016年2月15日 6時) (レス) id: e727ae2b23 (このIDを非表示/違反報告)
みたらし花子(プロフ) - 分かりました！わざわざありがとうございます！ (2016年2月14日 23時) (レス) id: 159e822fb4 (このIDを非表示/違反報告)
みいこ(プロフ) - 俺とひな、か野良猫、の続きが見たいです！更新楽しみにしていました！続きが読めてすごく嬉しいです！ (2016年2月14日 23時) (レス) id: a737bf6134 (このIDを非表示/違反報告)
豆。(プロフ) - みいこさん» わあ！もう！嬉しいお言葉（；＿；）下記のどちらかです！試してみてください！ (2016年2月14日 22時) (レス) id: 659658bdee (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：豆。 | 作成日時：2015年10月23日 17時
