アップ・リット心地よい読後感を【ARS】 (ページ2)

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「いらっしゃいませ！」
雅紀の元気のいい声が店内に響いて
数十人の列をなす客人たちを迎える。

カフェスペースを併設する書店。
数万近い書籍があり、テーマごとに棚やスペースを作る。
書店で購入した本を手にカフェスペースで読むことが可能だ。
その際はカフェが１０％割引となり、もれなく潤の笑顔の接客もついてくる。
軽食のサービスも好評で、その傍らで二宮が不定期でテーブルマジックも披露する。ローテーションで接客も行う５人はそれぞれにファンを持ち、連日女性たちから溜息のような声が漏れる。

ここは、『本と出会いの店アンタイトル』
普通のＢＯＯＫ＆ＣＡＦＥと一線を画しているのが悩み相談も請け負っているところなのだ。

ココを訪れるのは色めき立つ女性ばかりではない。
日常に疲れたサラリーマンや、乳幼児を連れた母親、高校生の若いカップル等。

一直線に奥のビジネス関連の書籍棚へ向かうスーツ姿の男性と目があった智ははてと首を傾げる。

「どうしたの？大野さん」
眉根を寄せた智に声をかける和也。

「ん？いや…、どっかで見た様な…」
「知りないじゃないの？」
「んー、わかんね」

唇を尖らせながら智は、奥の棚に視線を
戻した。