アップ・リット心地よい読後感を【ARS】 (ページ1)

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プロローグページ1

春の陽気に誘われて人びとの往来が増えてきた。

店を開けて暖かく新しい外気を取り入れて行きかう人を眺めるのは大野智の日課となっている。

「おっ、やべ。空気清浄機もオンにするの
忘れてた…」
智は一人呟いて、一旦硝子の扉を閉めて
業務用の空気清浄機のスイッチを入れる。

店に来た一番手がこの空気清浄機の
電源を入れる決まりになっている。
花粉症を患う店員、相葉雅紀と松本潤
や来店した客人への配慮でもある。
副・店長の櫻井翔にも釘を刺されているからだ。

一番の年長である大野智は、日焼けした浅黒い肌にトップをふんわりさせた茶色の髪を流し、やや眠そうな目を擦り、欠伸を噛み殺してモップを掛け始める。
いつもは櫻井が一番に姿を見せるのだが今日は
書店員のイベントへ潜り込んでくると昨日勢い
こんでいた。本日一番の座についたのが大野だった。

「おはよう、お、リーダー早いね」
濃い眉を持つ、店一番のイケメンで評判の潤が
店のドアを開けた。
彼を見るためだけにくる客人もいる程だ。

ガタっと店の奥の控室から出てきた誰かの音に
振り返る、智と潤。

「なっ！お前、なんでいんだよ？」
「んー、寝ちゃった…、ふぁ～」

大きな欠伸をしながら、智の声に反応した男。
二宮和也は、寝ぐせをピンと立てた
黒い髪をワシャワシャと掻きあげた。
彼は店の売上・仕入動向の数字をみる
メンバーの経理、頭脳の役割を担っている。

「さては、また徹夜したなぁ」
呆れ気味に潤は和也に声かける。
まぁねとボソリといって店のソファへ腰を下ろす。

「おい、お前も手伝えよ！」
「俺は肉体労働派じゃないんで、相葉さんきたら一緒にやればいいじゃん」
「おまっ！！」
「リーダー、俺もやるから」
「お…おう」

潤がキッチンでお湯を沸かしながら2人を
宥めにかかる。
ゲーム三昧に見えるが徹夜で片付けた仕事を
知っている潤は助け船を出したのだ。

「おっはよー。今日すげぇ花粉飛んでるよ」
マスク姿の相葉雅紀がリュックを下ろして
ソファへ置いた。

「雅紀、一旦、外で花粉落としてきて。
俺も鼻ムズムズする…」
「あ、ごめんごめん」
潤は、カップに何か注ぎながら雅紀に声をかける。
慌てた様子で一旦、リュックと自身が外に出て
専用ブラシで花粉を払い落とす。

「はい、起きぬけにハーブティどうぞ！」
「お、さすがＪ！」
「サンキュー！」

と潤が３つのティーカップをテーブルの置いた。彼の気遣いに舌を巻く和也と智なのだった。