５６ ページ10
「久しぶりだね」
「あぁ」
美咲が片手にひいていた
スーツケースに目にしながら
視線を美咲に戻して再び見る。
「なんか、少し痩せた？」
久しぶりに見る元・恋人の
顔の輪郭に変化がみられた気がして。
「うん、ちょっと忙しくてね、
でも意識的に痩せたんだよ」
そういってなんだか嬉しそうに
笑った。
うん、やっぱり綺麗だと
俺の心が揺らぐ。
美咲は美咲のままだった。
むしろ少しだけ艶っぽい
仕草になった気がして、
彼女の周辺での何かしらの
変化があったことは察しがつく。
「今日はどうした？
俺に用だったとか？」
そう聞くと意味ありげな
間をおいて頷いた。
「どんなお店なのかなぁと
思ってね。ツブヤキで
評判なんだね、翔のお店」
「有難う、俺も驚いてるよ。
それにコックの腕がいいから
ね。そのお陰だな」
そう言うと、寒空の下
立ち話は辛いだろうなと
思って俺は家にくればと
誘った。
店の鍵を開けて美咲を
招き入れる。
「へぇ、かわいいお店〜
素敵じゃない！」
そういって美咲は店の中を
ぐるりと回って奥の壁に
飾られた智くんの絵の方へ
移動していく。
「この絵は？」
そういって俺の方へ
振り返って指を指す。
俺は彼女に近づいて行くと
長く緩やかなカールを施
した髪が動いてフワっと甘い
香りが舞った。
「これは大野智って人の
絵なんだ。まだ無名の絵描きさん
なんだけど、俺はこの人の絵
から衝撃というか…、まだうまく
表現できないんだけど、惹きつけ
られるんだ」
何故か言い終わると頬が
熱く胸が弾む自分がいた。
美咲の視線を感じて俺は慌てて
他の絵に顔を向けた。
「そうなんだね、うん、素敵な絵」
そういって腕を後ろに回して
手を組みながら絵をみていく美咲。
「何飲む？」
俺はキッチンの方へ歩きながら
聞くと美咲がくるりとこちらに
向かって、ミルクティーと言った。
「へ〜、翔がミルクティー
上手く作れるんだね」
「今は麦茶だけじゃなくて、
コーヒーも紅茶を研究したんだ
昔と一緒にするなよな…」
俺は苦笑いで席について一緒に
向かい合う。
美咲はマグカップを両手で
覆って温まりながら飲んでいた。
なんだか不思議な感じがした。
もう二度と会うこともないだろうって。
俺と目が合うと美咲はニッコリと
笑顔で目を細める。
少なからず俺の心は揺れてたんだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 706人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
翔華(プロフ) - はるさん» はるさん、初めまして、こんにちは。コメント有難うございます！心が広い菩薩の様な智くんを書きたいかったのでそう言ってもらえて嬉しいです＾▽＾もう少しこのお話にお付き合い下さいね！幸せな2人が好きなので♪ (2018年3月29日 13時) (
レス) id: 37eca17cbd (このIDを非表示/違反報告)
はる(プロフ) - 翔華さん、こんにちは。更新ありがとうございます！なんて酷いことが！と思ったら智くんのなんて優しく大きいこと！離れた絵はくれてやる！って格好いいです！楽しみにしています。 (2018年3月28日 15時) (レス) id: 2e57ade7fe (このIDを非表示/違反報告)
翔華(プロフ) - satoshiikoさん» コメントありがとうございます！はい、前進あるのみ！ですね♪(*^^*)パワーいただきましたよ、ありがとうございます((o(^∇^)o))色々相談して縁のある会社に行ければなと考えてます！ (2018年2月7日 13時) (レス) id: 5a0dcd6872 (このIDを非表示/違反報告)
satoshiiko(プロフ) - こんはまんは！ 就活、頑張ってください！ きっと翔華さんにとってベストな道が開けるはず。♪前進あるのみ〜♪ (2018年2月6日 21時) (レス) id: 6dba7c15f5 (このIDを非表示/違反報告)
翔華(プロフ) - ショウさん、コメント有難うございます！はい、やっと２人の気持ちが動きました＾＾ やっぱり甘いのが書きたいのでやっとという感じですね。。。これからも和んでもらえるように頑張りますね。有難うございました！ (2017年12月27日 19時) (レス) id: 37eca17cbd (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：翔華
| 作成日時：2017年11月6日 13時
