その１：打開の鍵はバンダナのキミ ページ2
☆
「(あーあ、とうとうこの日が来たよ……)」
透き通るような青い空に、そこらじゅうにぽつぽつと浮かぶ綿飴のような白い雲。
そんな絵に描いたような晴天の青空とは裏腹に、少女の心模様は言うなれば車軸を流すような大雨だった。
「(人違い、誤選出、誤発送。粗方そんなとこだろうけど、一体全体どうしてこんな面倒なことに……)」
人違い、誤選出、誤発送。
後頭部よりも更に高い位置に結ばれた金髪が特徴的な彼女が並べたこの三つの単語は、いわゆる彼女の考える「自分が日本代表候補に選ばれた理由」である。
手紙にしっかりと自分の名前が記載されていたことから誤発送の可能性はほぼ無いに等しいはずだが、無理にでも理由を作り出さなければ、彼女はとてもじゃないけれど気が気でなかった。
「(このままだと、いつかそのうち"素人、誤って日本代表に選出される！" なんて大見出しと一緒に新聞の一面飾ることになっちゃうよ……いや、それだけはやだ。私は悪くない。悪いのは誤選出した協会のお偉いおっさん達だ)」
それもそのはずだ。
彼女がたった今言った通り、日本代表候補に選出された金髪の彼女──もとい
ならば、何故そんなゴテゴテのサッカー初心者であるほたるが日本代表候補に？
誰もがそう疑問符を浮かべるだろうが、それを今一番聞きたいのは他の誰でもないほたる本人である。
事の発端は、数日前に送られてきた一枚の真っ白な封筒だった。
封筒の中に入っていた手紙の内容は、放課後の到来にウキウキだったほたるのテンションを一瞬にしてブチ落としてしまうには十分すぎるもので、ほたるもこれまでに何度この日が来てしまうことを呪ったか分からない。
それでも眠れば嫌でも朝は来てしまうもので、彼女にその手紙を送ったサッカー協会とやらに問い合わせをする暇もなく、そうこうしているうちに気がつけばこの日が来てしまっていた……というわけだ。
あまりにも会場に足を踏み入れたくなくて、試しにほたるは代表候補者専用のゲートにちらりと目線をやってみる。
すると、そこではオレンジのバンダナを頭につけた少年が何やらカードのようなものをピッとゲートにかざし、そのまま開いたゲートの間を通っていく姿があった。
「(……しめた！)」
頭の回転だけは無駄に速いほたるはどうやら何か思いついたらしく、何も言わずにそのままそっと近くの係員のもとへ向かった。
その２：回転速度と結果は残念ながら比例しない→←その０：誰も望まぬ前日譚
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 252人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「イナズマイレブン」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
こめこ(プロフ) - 猫宮さん» 返信が遅れてしまい申し訳ありません…！ なんと！ 物凄い偶然ですね…！！ ぜひ、今後とも夢主の行く末を見守ってやってくださいませ( ´ ▽ ` ) (2020年4月22日 16時) (
レス) id: 2935309ddd (このIDを非表示/違反報告)
猫宮 - ウチの考えと夢主ちゃんの考えが一致しとる、すげー((((；ﾟДﾟ))))))) (2019年10月28日 17時) (レス) id: a4825ec2c2 (このIDを非表示/違反報告)
こめこ(プロフ) - くーちゃんさん» コメント並びにお祝いのお言葉、誠にありがとうございます（ ; ; ）全作品を通して更新頻度にばらつきがありますが、これからもそう言っていただけるようなお話が書けるよう頑張って参りたいと思います！ (2019年6月29日 19時) (レス) id: 2935309ddd (このIDを非表示/違反報告)
くーちゃん(プロフ) - 殿堂入りおめでとうございます！こめこさんが書くイナイレのお話はどれも面白く、楽しませてもらってます！これからも頑張ってください！応援してます！ (2019年6月8日 4時) (レス) id: 3f70a533d9 (このIDを非表示/違反報告)
こめこ(プロフ) - 辺銀ヾ(･ω･`*)さん» のわ〜〜辺銀さん！青い鳥の方ではお世話になっております…！ ！応援のコメントありがとうございます、これからものんびりと頑張って参りますね( ´ ▽ ` ) (2019年6月3日 21時) (レス) id: 67fc292324 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：こめこ | 作成日時：2019年3月8日 7時
