その10:同じ星の名を持つもの ページ12
☆
「すっげー、富士山だ……」
目の前の大きな建物の後ろに佇む、さらに大きく壮観なそれに、ほたるは呆然とただ一言そう呟く。
東京では絶対に見ることのできない景色を目の当たりにして、本当に自分は日本代表になってしまったのだと嫌でも脳が理解した。
このありえない状況をどこか受け入れかけているようで、やっぱりまだまだ現実としては受け入れることができていない。
この先のことを考えると、既にどっと疲れが出てくるようだった。
「(どうか、全試合控えでありますように……!!)」
富士山の迫力ある景色に圧倒されつつも、ほたるは山に向かって両手を擦り合わせ強くそう願う。
建物越しの山に向かって願い事をするその姿は傍から見ればなかなかに滑稽だが、さながら山の神への神頼みといったところだろうか。
とはいえ、どうやら監督たち大人はほたるが誤って代表選手に選出されたことを知っているようだったので、その可能性も十分にありえると言える。
何を考えているのかイマイチわからないあの監督でも、流石に誤って選出されてしまった素人への配慮くらいはしてくれるだろう……と、できればそう考えたい。
逆に言えば、とんだ無茶振りをされる可能性も無きにしも非ずなのがあの監督の怖いところだ。
「──六連星さん!」
そんな彼女の近くに、近づく影が一つ。
「ん? あー、えっと……」
「あ、名乗りもせずに突然ごめんなさい! 俺、一星充っていいます」
「あー、そうだ! 発表会でキミの名前聞いた時、すっごいキラキラした名前だなって思ったんだ」
一星充と名乗った深いブルーの髪が特徴的な彼は、ほたるの言葉に嬉しそうに頰を綻ばせると「ありがとうございます」と頭を下げる。
そんな彼の姿を見てほたるは「そんなに喜ぶことか」とやや疑問に思ったが、あまり深くは気にしないことにして、そのまま彼の自己紹介に応じた。
「もう知ってるみたいだけど、六連星ほたるです。同じ星の名を持つもの同士仲良くしよう、なーんて……」
「……!」
互いの名字をかけたほたるの何気ないジョークに、一星は一瞬だけぴくりと肩を揺らした。
けれども特にそれを気に留めることなくほたるが一星に向かって片手を差し出すと、一星もすぐに顔に笑顔を浮かべて「これからよろしくお願いします」と彼女からの握手に応じたのだった。
「一星くん。もしかして、お兄ちゃんとかいたりする?」
「え? いや、兄はいないですね……」
「あれ? そっか。なんだ、どことなくそんな感じしたのになー」
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こめこ(プロフ) - 猫宮さん» 返信が遅れてしまい申し訳ありません…! なんと! 物凄い偶然ですね…!! ぜひ、今後とも夢主の行く末を見守ってやってくださいませ( ´ ▽ ` ) (2020年4月22日 16時) (レス) id: 2935309ddd (このIDを非表示/違反報告)
猫宮 - ウチの考えと夢主ちゃんの考えが一致しとる、すげー((((;゚Д゚))))))) (2019年10月28日 17時) (レス) id: a4825ec2c2 (このIDを非表示/違反報告)
こめこ(プロフ) - くーちゃんさん» コメント並びにお祝いのお言葉、誠にありがとうございます( ; ; )全作品を通して更新頻度にばらつきがありますが、これからもそう言っていただけるようなお話が書けるよう頑張って参りたいと思います! (2019年6月29日 19時) (レス) id: 2935309ddd (このIDを非表示/違反報告)
くーちゃん(プロフ) - 殿堂入りおめでとうございます!こめこさんが書くイナイレのお話はどれも面白く、楽しませてもらってます!これからも頑張ってください!応援してます! (2019年6月8日 4時) (レス) id: 3f70a533d9 (このIDを非表示/違反報告)
こめこ(プロフ) - 辺銀ヾ(・ω・`*)さん» のわ〜〜辺銀さん!青い鳥の方ではお世話になっております…! !応援のコメントありがとうございます、これからものんびりと頑張って参りますね( ´ ▽ ` ) (2019年6月3日 21時) (レス) id: 67fc292324 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こめこ | 作成日時:2019年3月8日 7時