第36話 いざ出陣！�� ページ9
そんなこんなで、無事に私たちは吹雪くんを呼び戻すことに成功。春奈ちゃんと共にキャラバンへと戻れば、程なくしてイナズマキャラバンは福岡へと出発した。
バスの席順については、特に大きな理由はなく、成り行きで私は木暮こと木暮夕弥くんの隣の席に座ることになった。
前には風丸、その隣には円堂くんとなんとも個性的なメンツに囲まれたものだと思ったが、よくよく考えてみればこのキャラバンに個性的でないヤツなんて誰一人として存在していなかった。もちろんいい意味で。
私はちょうど窓側の席だったので、意味もなくただなんとなくで窓の外の景色に目をやる。次々に変わっていく和泉野の見慣れた景色。早送りの景色は次第に見知らぬ土地へと変わっていって、いよいよ本当に今から旅が始まるのだと私の脳を実感させた。
……遠慮せずに気楽に過ごせ、か。
「私たち、仲間なんですから！」という春奈ちゃんの言葉を、私は幾度となく頭の中で反芻していく。私がサッカー部に助っ人として入部したときも、似たようなことを
歴史は繰り返すとはよく言ったものだ。デジャヴのような感覚がなんだか面白可笑しくて、私は思わず「ふふ」と一人でに笑みをこぼす。隣にいた木暮は、何か胡乱なものを見るような目でこちらを不審がるように見ていた。
「なんだよ木暮っ、その目は……」
ちょっかいをかけてやろうと木暮の方へ身を乗り出すと、その拍子で前方からあるものが視界に飛び込んできた。背もたれの上から見える円堂くんと風丸の姿。二人の膝の上には、何やら写真のようなものが一枚置かれていた。……これは。
「二人とも、楽しそうになに見てんの？」
少々マナーが悪いが私はシートベルトをつけたまま無理やり座席から腰を上げて、後ろから彼らを覗き込むように見ながらそう話しかける。突然頭上から降ってきた私の声に驚いたのか、二人は咄嗟に「うわっ」と悲鳴にも似た小さな声を零してこちらに顔を向けた。
「な、なんだ。Aか！ ビックリさせるなよー！」
「ご、ごめん円堂くん。まさかそこまで驚くとは……で、二人で楽しそうに何見てんの？」
「ああ、これか！ これはオレたち雷門サッカー部がフットボールフロンティアで優勝したときの写真で……そうだ。Aも見るか？」
「おー、見る見る！ どれどれ……」
円堂くんの手から直接写真を受け取って、もう一度座席に座りなおす。せっかくなので「木暮も一緒に見ようよ」と話しかけてみるも即一蹴されてしまったので、私は泣く泣く一人でそれを見ることにした。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 77人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
こめこ(プロフ) - アインツバルさん» コメントありがとうございます。私にはもったいなすぎるお言葉です……！ 完全なる長編なので読むには少し骨が折れるかもしれませんが、ぜひ楽しんでいただけると嬉しいです( ´∀｀) (2019年4月7日 18時) (
レス) id: 67fc292324 (このIDを非表示/違反報告)
アインツバル - あ、こめこ様の作品発見！ 神作品の予感がするぜぇ...！！ (2019年4月7日 11時) (レス) id: db0b681609 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：こめこ | 作成日時：2019年3月7日 18時
