第69話 前進あるのみ！�� ページ42
「──フルール、トワレッッ！！」
打ち込んだボールは、いつものように無数の花弁を纏いながら狙った方向へと勢いよく飛び込んでいく。ボールは予め置いておいたコーンを綺麗に吹き飛ばして、そのまますぐに失速した。
……コントロールに関しては、我ながら申し分ないところまで来ているはず。でも、まだ何かが足りない。
立向居くんのゴッドハンドにも、最強のパンチ技"正義の鉄拳"にも……そして、究極のキーパー技"ムゲン・ザ・ハンド"にも。どんなキーパー技にも負けないシュートを打つには、一体どこをどう修正すればいいのだろうか。
ゴッドハンドとギリギリ対等に張り合える程度の精度じゃ、きっとヤツら宇宙人の守りには絶対に勝てない。
これはもちろん、決して立向居くんのゴッドハンドが弱いと言っているわけではなく。人間を相手に弾かれるようなシュートじゃ、宇宙人なんかには絶対に勝てるわけがないという意味だ。
「はあ……これからどうしよう」
思わず本音が零れる。比較的明るいことだけが取り柄だと自負しているつもりなのに、こんな弱音ばっかな情けない姿、とてもじゃないけどみんなには見せられないな。
……なんて、ひとりでに考えていた矢先。
「──随分と悩んでいるようだな、水野」
「え？ ……き、鬼道さん！」
突如背後から現れたのは、青色のマントをひらひらと風に靡かせる鬼道さんだった。
「な、なんで鬼道さんがここに？」
「先ほどから何度もコーンの転がる音がここから聞こえてきていたからな。何かと思って来てみれば、水野だったのか」
「ま、まあね。雷門イレブンのフォワードとして、せっかくならシュートの精度を上げておこうと思って」
そんな話をしながらも、私はあらぬ方向へと飛んでいったコーンをもう一度セットし直して、近くに転がっていたボールを回収する。
「いつからいたの？」と尋ねてみると、鬼道さんは鋭い視線でこちらを捉えながら「お前がシュートを打つ直前あたりからだな」と答えた。
「そっか……じゃ、丁度いいや。今からもう一回シュート打つからさ。どこを修正すればより良いシュートになるか、試しにちょっと見てみてよ！」
相手は"天才ゲームメーカー"と名高いあの鬼道さんだ。もしかしたら、どこか自分のシュートに物足りなさを感じる原因がわかるかもしれない。
鬼道さんは考えるそぶりを見せるわけでもなく小さく口角を上げると、「ふっ、最初からそのつもりだ」と言いながらボールの動きがよく見える場所へと移動した。
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こめこ(プロフ) - アインツバルさん» コメントありがとうございます。私にはもったいなすぎるお言葉です……！ 完全なる長編なので読むには少し骨が折れるかもしれませんが、ぜひ楽しんでいただけると嬉しいです( ´∀｀) (2019年4月7日 18時) (
レス) id: 67fc292324 (このIDを非表示/違反報告)
アインツバル - あ、こめこ様の作品発見！ 神作品の予感がするぜぇ...！！ (2019年4月7日 11時) (レス) id: db0b681609 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こめこ | 作成日時：2019年3月7日 18時
