第53話 優しそうな�� ページ26
「吉良様。これはとんだ失礼を、つい話ば夢中になってしまって……」
伐天さんが申し訳なさそうにそう言うと、"吉良"と呼ばれたその人は「いえいえ、お気になさらないでください」と言ってにこりと優しく微笑む。
「あれ？ おじさんもじいちゃんのこと知ってるのか？」
「こ、これ！ やめんしゃい、そげん口の利き方」
「ふふ、構いませんよ。子供は元気なのが一番です」
流石は我らがキャプテン円堂くん。どんな相手にも物怖じしないその性格で、初対面であるはずの吉良さんにも気になったことはダイレクトに質問する。
吉良さんも吉良さんで、年下かつ初対面の相手からいきなりタメ口を聞かれたのにも関わらず、その笑顔は一向に崩れる気配がない。……なんというか、強い。強いぞ、この人たち。
「うーん。あのおじさん、どっかで見たことがあるような気がするんだけどなあ」
「え？ もしかして塔子、あの人と面識あるの？」
「面識があるっていうか、見覚えがあるっていうか……」
そうは言ってもどうしてもどこで見かけたのかは思い出せないらしく、塔子は眉間に皺を寄せながら「うーん、うーん」ともどかしそうに唸る。
そんな塔子の姿がたまたま目に留まったのか、吉良さんは一瞬だけ私たちのいる方にちらりと目をやると、次第にゆっくりとこちらへ近づいてきた。
なんだなんだと私がしばらくその姿を眺めていると、吉良さんは完全に塔子の方に顔を向けたまま「これはこれは、塔子お嬢様」とかなんとか言って、嬉しそうに話を始める。……完全に私のことは視界に映ってないよ、この人。
「え？ …………あーっ、思い出した！ あなた、偉い人ばっか集まるパーティーに来てた金持ちのおじさんだ！」
塔子は勢いで吉良さんの方を人差し指で指差したまま、これでもかと思うほどの大きな声でそう叫ぶ。
それに対する吉良さんの対応はというと、特に怒りを露わにするわけでもなく、上品に笑い声を上げながら「塔子さまは相変わらずお転婆ですなあ」だなんて当たり障りのないことを言うだけだった。……なんか、ますますちょっと怖いぞ、この人。
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こめこ(プロフ) - アインツバルさん» コメントありがとうございます。私にはもったいなすぎるお言葉です……！ 完全なる長編なので読むには少し骨が折れるかもしれませんが、ぜひ楽しんでいただけると嬉しいです( ´∀｀) (2019年4月7日 18時) (
レス) id: 67fc292324 (このIDを非表示/違反報告)
アインツバル - あ、こめこ様の作品発見！ 神作品の予感がするぜぇ...！！ (2019年4月7日 11時) (レス) id: db0b681609 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こめこ | 作成日時：2019年3月7日 18時
