第38話 はじめまして、新天地�� ページ11
「ひょーっ、福岡だあ！！」
窓から外の景色を見渡してみれば、辺り一面の見たことのない新鮮な景色。レトロな雰囲気はとてもいい味を出していて、まるで映画の舞台のようだった。
小さな駐車場でキャラバンは一時停車。キャラバンのみんなは次々と外へ出て行って、最終的には私一人がバスの中に残っているような状態になった。
高揚する気持ちをなんとか抑えつけて、私もみんなと同じようにキャラバンの外へと一歩足を踏み入れる。
路面電車に、味のある建物。シックな色使いに、空に浮かぶ夕焼け……そのなんだか妙に安心感のある雰囲気に感銘を受け、思わず言葉を失った。
「すっげえ……！」
円堂くんは何かを噛みしめるようにそう言うと、ぐるりと身体を一回転させながら豪快に辺りを見渡す。とても嬉しそうなその姿に夏未さんたちは頬を緩めて、そんな円堂くんのことを端でそっと見守っていた。
すると、隣にた木暮は不意にぼそりと何かを呟く。
「なんか、ここ、イズミノってとこと似てるよなー」
あまりにもさりげなくそう呟かれたものだから、どうやらそれはみんなの耳には届いていなかったみたいだった。けれど、運がいいことに隣にいた私には微かにそれが聞こえてきた。
言われてみればたしかに、この昔ながらの雰囲気、和泉野の景色にどことなく似ているかもしれない。
「あー、たしかにちょっと似てるかも。だからこんなに安心感あるのかな」
何の気なしにそう返すと、木暮は一瞬だけ硬直してから「さ、さあなっ」とぶっきらぼうに言ってそさくさと壁山の後ろへと隠れてしまった。……うん？
「
「あ、あはは……」
「オマエ、意味わかって言ってんのかよ」
「な、なあにこの
「ち、チビって言うな！！」
仲良さげに戯れる木暮とリカ(と、一之瀬くん)。私に対してもリカと接するときみたいにもっと生意気言ってくれたって構わないのに、なんて、素直に本人に言えるはずもなく。
どうやら彼が私に心を開いてくれる日はまだまだ遠そうだ。いつかお互いに楽しく過ごせる距離が掴めるように、これからも木暮にはたくさんちょっかいをかけていこうと改めて決意した瞬間だった。
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こめこ(プロフ) - アインツバルさん» コメントありがとうございます。私にはもったいなすぎるお言葉です……！ 完全なる長編なので読むには少し骨が折れるかもしれませんが、ぜひ楽しんでいただけると嬉しいです( ´∀｀) (2019年4月7日 18時) (
レス) id: 67fc292324 (このIDを非表示/違反報告)
アインツバル - あ、こめこ様の作品発見！ 神作品の予感がするぜぇ...！！ (2019年4月7日 11時) (レス) id: db0b681609 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こめこ | 作成日時：2019年3月7日 18時
