その９９：優しさが身に染みるぜ ページ7
☆
「(あ゛ー、マジで頭痛すぎる……なんなんこれ？)」
ミーティング終了後。
いよいよ頭痛の激しさがピークに達しつつあったほたるは、なんとか自室に戻ろうと一人通路で奮闘しているところだった。もはや体調の悪さを取り繕うことも叶わないのか、その足取りは辿々しい。
オリオン財団という未知の組織の登場や、徐々に紐解かれていった一星のバックグラウンドなど、ほたるにとっても気になる話が目白押しだった今回のミーティング。
頭痛さえなければ、ほたるは今頃ウッキウキで帰路についていただろう。普段が驚くほどに健康なだけに、少しの体調の崩れも人一倍重く感じてしまう。
「(朝はあんなこと言ったけど、今日がオフでよかったかも。明日からは普通に練習だろうし……あれ？ 練習だよね？ 流石にもう私だけ一人で自由行動とか、そういうのないよね？)」
アウェイな場での自由行動は身を滅ぼすと身をもって学んだほたるは、そっと心の中で「いやあ、まさか。まさかね」と苦し紛れに自分を言い聞かせた。
そうこう考えているうちにも、頭痛はどんどん激しさを増していくばかり。自室まではまだ少し遠い。無事に辿り着けるかな、なんて縁起でもない心配をしながらも、ほたるはゆっくりと歩みを進めていく。
「(ほんとツイてないなあ。こんな酷い頭痛、人生で初めてなんじゃない？ 覚えてないけど……あ)」
そうしてしばらく歩いていれば、不意に視界の先に人影を発見した。あの少し癖のついた灰色の長い髪を持つのは、少なくともこのイナズマジャパンにはあの人しかいない。
ほたるはその後ろ姿を捉えるなり、体調が悪いとは思えないほどのスピードで人影の元へと駆け寄っていく。「灰崎くん！」とその名前を呼べば、人影はゆっくりとこちらを振り向いた。
「六連星。部屋に戻るんじゃなかったのかよ」
「それが、まだ戻ってる途中でさあ」
「はあ！？ 途中って、ミーティング室から自室に帰るのにどれだけ時間かけてんだよ」
思わず眉を顰める灰崎に、ほたるはすぐさま「これには深い事情が……」と助けを求めた。その内容は、今度何か奢ってあげるから、とりあえず今は自室まで肩を貸してくれ、というもの。
「人命救助だと思って頼まれてよ、ね？」と懇願すれば、灰崎は渋々承諾してくれた。
「はー、助かった。意外と優しいんだね、灰崎くんって」
「あんな冷や汗ダラッダラの顔で頼まれたら、誰でも断れねえだろうよ」
呆れたようにそう話す灰崎に、ほたるは「そんなにヤバそうな顔してたかなあ、私」と力なく笑った。
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coopee - 初めてコメントさせていただきます！久々にイナイレの占ツクをあさっていたら、まさかこんなにも素敵な作品に出会えるとは思ってもいませんでした。主さんのペースで、完結まで頑張ってください！ (2021年2月18日 17時) (
レス) id: 2eec394d2f (このIDを非表示/違反報告)
鮭の神様(元 レオ)(プロフ) - わぁぁぁぁ！！！続きが更新されてる…！！！楽しみにしてました！！！更新ありがとうございます！！！変な時間に申し訳ございません。これからも無理せず頑張ってください！ (2021年1月25日 2時) (レス) id: 86c31a4b24 (このIDを非表示/違反報告)
こめこ(プロフ) - 奏さん» 大変長らくお待たせしました…！！変なところで切ってしまってごめんなさい；超マイペースではありますが、これからも完結目指してなんとか頑張っていこうと思います…！コメントありがとうございました！ (2021年1月24日 22時) (レス) id: 2935309ddd (このIDを非表示/違反報告)
こめこ(プロフ) - 華兎くんさん» ご心配をおかけしました…！長い間お待たせしてしまい申し訳ないです。これからも楽しんでいただけるよう頑張ります、コメントありがとうございました！ (2021年1月24日 22時) (レス) id: 2935309ddd (このIDを非表示/違反報告)
こめこ(プロフ) - ゆめのわたしさん» コメントありがとうございます。大変長らくお待たせいたしました…！完結までお届けできるよう、これからも頑張っていきます…！！ (2021年1月24日 22時) (レス) id: 2935309ddd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こめこ | 作成日時：2020年5月1日 21時
