その１１４：変わるということ ページ22
灰崎は前線へとドリブルを進めるも、その途中でサウジアラビアにボールを奪われてしまった。再び空中戦に持ち込もうと、サウジアラビアは高らかにボールを蹴り上げる。そして、またしてもその先には野坂の姿が。
先程と同じように、野坂はサウジアラビアのカウンターを止めようと跳躍した。けれど、今度はその場に一星も加わる。
「「！」」
予想外の行動に、イナズマジャパンの皆が思わず表情を強張らせた。まさか、一星は野坂の頭を。
野坂の姿を追うようにして、力強く地面を蹴った一星。空高く跳んだ彼が、次に取った行動は──
「一星くん……！」
一星は野坂の頭を庇うようにしてボールを蹴ると、そのまま地上へと落下した。ボールは野坂の頭に激突することなく、ラインの外へ。その行動は、まさに野坂を守ったと言っても過言ではないだろう。
ほたるは嬉しそうに声を上げた。他の皆も、そんな一星の姿に安堵と歓喜の笑みを溢す。
「選んだね。本当の自分と向き合うという選択肢を」
芝生に横たわる一星に、野坂は手を差し伸べながらそう言った。
「君は色々な気持ちをずっと隠してきた。でも、何もかもを隠し続けることなんてできないんだ。……さあ」
一星は茫然と野坂の姿を眺めながら、差し伸べられた手にそっと自分の右手を重ねた。彼の力を借りながらも、そっとその場から立ち上がる。
「"自分の心に正直になれ。道は必ず、その先に見えてくる"」
「……！」
そんな二人の様子を側で傍観していたほたるは、自分でも知らないうちに何とも穏やかな笑みを浮かべていた。
無意識に溢れたその笑みを、ほたるが自覚することはない。今も尚、彼女は「これはあくまで自分のためなのだ」と自分に言い聞かせている。
「(野坂くんは、一星くん自身に選ばせた。その結果、一星くんは"自分がやりたい本当のサッカー"を追い求めることを選んだ。……あと、少し。もう少しで)」
そこまで考えたところで、不意にほたるははっと息を呑んだ。
「(この違和感の正体が、わかるかもしれない。……でも、その先は？)」
──イナズマジャパンは、一星は、そしてほたるは、たしかに変わろうとしていた。
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coopee - 初めてコメントさせていただきます！久々にイナイレの占ツクをあさっていたら、まさかこんなにも素敵な作品に出会えるとは思ってもいませんでした。主さんのペースで、完結まで頑張ってください！ (2021年2月18日 17時) (
レス) id: 2eec394d2f (このIDを非表示/違反報告)
鮭の神様(元 レオ)(プロフ) - わぁぁぁぁ！！！続きが更新されてる…！！！楽しみにしてました！！！更新ありがとうございます！！！変な時間に申し訳ございません。これからも無理せず頑張ってください！ (2021年1月25日 2時) (レス) id: 86c31a4b24 (このIDを非表示/違反報告)
こめこ(プロフ) - 奏さん» 大変長らくお待たせしました…！！変なところで切ってしまってごめんなさい；超マイペースではありますが、これからも完結目指してなんとか頑張っていこうと思います…！コメントありがとうございました！ (2021年1月24日 22時) (レス) id: 2935309ddd (このIDを非表示/違反報告)
こめこ(プロフ) - 華兎くんさん» ご心配をおかけしました…！長い間お待たせしてしまい申し訳ないです。これからも楽しんでいただけるよう頑張ります、コメントありがとうございました！ (2021年1月24日 22時) (レス) id: 2935309ddd (このIDを非表示/違反報告)
こめこ(プロフ) - ゆめのわたしさん» コメントありがとうございます。大変長らくお待たせいたしました…！完結までお届けできるよう、これからも頑張っていきます…！！ (2021年1月24日 22時) (レス) id: 2935309ddd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こめこ | 作成日時：2020年5月1日 21時
