その１０６：いかにもなスイッチですね ページ14
☆
その翌朝。ついにサウジアラビア戦当日となった今日は、宿舎からスタジアムへと遠征するべく、皆でバスに乗り込んでいた。バスの中は、いつも通りの和気藹々とした雰囲気だ。
今日も今日とて頭痛と共存中のほたるは、特にそれを気に留めることなくバスじゅうを見渡す。今回のほたるの席は、後ろから二番目の一人席。通路を挟んだ左側には、同じく一人席の一星が座っている。
「(一星くん……なんか、ちょっと変？)」
今日は、そんな彼の様子がなんだか少しおかしい。薄っすらと冷や汗をかいているし、顔色も悪い。
それは、比較的距離の空いた位置にいるほたるからでも見て取れるほどに顕著なものだった。
「一星くん、大丈夫？」
彼の変化にいち早く気がついたほたるは、思わずそう声をかけた。こうもあからさまに体調の悪そうな顔をされては、看過することもできない。
けれど、ほたるの呼びかけに真っ先に反応したのは当の本人の一星ではなく、その前列にいる稲森と剛陣、そして大谷だった。
「顔色悪いけど……車酔いか？」
「ほら、吐くならこれにしとけ」
「大丈夫？ 酔い止め、飲む？」
一星は鬱陶しそうに顔を顰めながら「放っておいてください」とだけ答えると、そのまますぐに窓にもたれかかり瞼を閉ざしてしまった。
一星の態度に少しだけ戸惑いながらも、稲森は「何かあったら、声かけてくれよ」と声をかける。一星がそれに応えることはなかったけれど、やはり彼らの素直な思いやりは健在のようだった。
「(放っておけって言うけど、明らかに息遣い荒いし。これで試合前に倒れられても、少なくとも私は責任取れないな……)」
ほたるは尚も一星の様子を眺め続ける。分かりやすく荒い呼吸に、止まることのない冷や汗。体調が悪いのか、はたまた何か違うものに影響を受けているのか。
そんな風にじっくりと観察を続けていると、ふとある物がほたるの目に留まった。
「一星くん。どうしたの、それ？ なんかのスイッチ？」
ほたるは限界までシートベルトを引き伸ばしながら、一星の顔を覗き込むようにして話しかける。彼女の言う
ほたるの奇行とも言えるその行動に動揺したのか、一星は「うわっ！？」と声を上げて手元狂わせた。彼の両手からこぼれ落ちたそれは、何かのスイッチのような造形をしている。溢れ出る好奇心のままに、ほたるはすかさずそれを拾い上げた。
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coopee - 初めてコメントさせていただきます！久々にイナイレの占ツクをあさっていたら、まさかこんなにも素敵な作品に出会えるとは思ってもいませんでした。主さんのペースで、完結まで頑張ってください！ (2021年2月18日 17時) (
レス) id: 2eec394d2f (このIDを非表示/違反報告)
鮭の神様(元 レオ)(プロフ) - わぁぁぁぁ！！！続きが更新されてる…！！！楽しみにしてました！！！更新ありがとうございます！！！変な時間に申し訳ございません。これからも無理せず頑張ってください！ (2021年1月25日 2時) (レス) id: 86c31a4b24 (このIDを非表示/違反報告)
こめこ(プロフ) - 奏さん» 大変長らくお待たせしました…！！変なところで切ってしまってごめんなさい；超マイペースではありますが、これからも完結目指してなんとか頑張っていこうと思います…！コメントありがとうございました！ (2021年1月24日 22時) (レス) id: 2935309ddd (このIDを非表示/違反報告)
こめこ(プロフ) - 華兎くんさん» ご心配をおかけしました…！長い間お待たせしてしまい申し訳ないです。これからも楽しんでいただけるよう頑張ります、コメントありがとうございました！ (2021年1月24日 22時) (レス) id: 2935309ddd (このIDを非表示/違反報告)
こめこ(プロフ) - ゆめのわたしさん» コメントありがとうございます。大変長らくお待たせいたしました…！完結までお届けできるよう、これからも頑張っていきます…！！ (2021年1月24日 22時) (レス) id: 2935309ddd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こめこ | 作成日時：2020年5月1日 21時
