必死のパッチ！

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*エースside



めっちゃ器用に立ったまま半分寝てる…
さっきからめっちゃ本名呼びやったし、何か反応がワンテンポ遅れてるし
怪しいとは思ってたけど…完全に寝ぼけてるやん…






「…なんかめっちゃ疲れた…」


結局風呂に入りそびれたジャッキーも含め、
全員謎の疲労感を感じてぐったりしとる。
当の本人はソファの上でまたスヤスヤや。




「……ちゅうか、今回の寝ぼけ云々じゃなくても、Aちょっとあれやぞ…」


「俺も感じてた…何て言うてええんかわからんけど…」



こないだの店でドンパチやった時と言い、
俺らと居る時のAはあの頃とほとんど変わらへん。



不自然なまでに、変わらなさすぎる。



普通、年相応に中身も育っていく。
いや、別にアホじゃないねん。仕事中とかめっちゃ冷静で頭回るし。
ちゃんとした大人や。
せやのにスイッチが切れると、子供っぽいとかそういうレベルやない、
男とか女とか、全然意識してへんかったちっさい頃と同じやねん。




Aがあの家に引き取られてからの話聞いたんやけど、
学校には通わず、家に教育係みたいな人が教えてくれてたんやて。
必要最低限の勉強以外は、全部あの世界で生きていくための知識だけ。


周りは全員年の離れた大人ばっかり…そら男女の感情なんてわからんよな…

って後日トッポが分析したのを聞いて、俺らが大号泣したのは記憶に新しい。




「ここ酒出る店やし、ちゃんと男のあしらい方教えてったらな…」

「敵対する相手にはめっちゃ強いけど、好意には普通に鈍感やもんなコイツ。」


「…多分こいつ、俺らが“脱げ”言うたら脱ぐぞ。」




俺らの“好き”とAの“好き”は
多分あまりにも違いすぎる。

きっと今好きやって言うても
「ウチも」って穏やかに笑って、終わり。

Aの“トクベツ”になれる日はまだまだ遠そうや…




「「「…………ハァ…」」」




男達の重い重いため息が響き渡る。
…まあ、言うても大事なんはA自身やし。
男っちゅうもんを徐々に教えてったらええやん？


…なんかこの言い方やらしいな……恥ずかし…


俺もまだまだ強ならなあかん。
皆も同じ事思ってるんか知らんけど、各々想いにふけってる。


そらこの人らも家族同然で大事やけど、この勝負にだけは負けられへん。
いつか、絶対Aの特別になるねん…
俺がそう決めた！

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