TAKE６ 屋根の上にて ページ7
本丸の瓦屋根を、誰かが梯子を伝って登ろうとしている。誰かはかなり焦っているのか、梯子をがたがたと鳴らしながら屋根の上に手をかけた。
右手、左手、頭、体、左足、右足の順で誰かの体が屋根の上から見え、やっとその人が顔を上げたところで梯子を上って来たのが審神者だと分かった。
「ここまでくれば、もう追ってこないだろう」
大胆不敵に笑った審神者は「よっと」と爺臭い掛け声とともに梯子を引き上げて座り込んだ。
今日も審神者はにっかり青江と口喧嘩をしていた。
そのまま喧嘩は持ち越しになり、にっかり青江はいつも通り戦場に出陣して帰って来た。その後、ちょうど彼が戦場で資源を拾ったことを伝えようと審神者部屋へ来た際、審神者はいなかった。
その代わりに、審神者部屋の隅に、葛籠が置かれていた。中身は、審神者なら誰もが一度は燃やしたいと思ったであろう、就任直後の報告書だった。
にっかり青江がそれを拾って確認しようとしたとき、審神者がその現場を目撃した。
目にもとまらぬ速さで書類を奪い取って逃走した審神者は、今は本丸の屋根の上にいる。
「こんな学年遠足の感想レベルの物なんて見せられるわけが……」
「やっぱり此処にいたんだねえ」
やはり偵察５５のステータス(特の最大値)は侮れない。すぐに審神者は見つかってしまった。
にっかり青江は先ほど審神者が上って来たところと同じところに梯子をかけ、頭だけ出して審神者に声をかけた。
「見せんぞ」
「どうしてそんなに隠すんだい？余計気になってしまうよ」
「学年遠足の作文なんて読みたくないだろ、って上がってくんな！」
にっかり青江は構わず屋根の上に立ち、審神者同様に梯子を回収して近くに置いた。
審神者は立ち上がり、右手に梯子、左手に書類を持ったまま逃げようとした。
「逃げてやる」
「おやおや、危ないよ」
審神者が屋根の端に立ったとき、突然風が吹いた。もちろん審神者はなすすべもなく、声さえ上げないまま足を滑らせて後ろに倒れ込みかけた。
にっかり青江は駆け出し、審神者の手を掴んでそのまま引き上げた。審神者の手を滑り抜けた書類は宙を舞い、風に乗って池のある方角へ飛んでいった。
「だから危ないって言っただろう？」
「……有難う」
にっかり青江は溜息を吐いて言った。
仮面の下の表情はうかがい知れないが、審神者は少なからず恥ずかしそうにお礼を言った。
体勢を立て直した二人は、その後いつもどおりお面の取り合いを始め、後三回ほど屋根から落ちそうになった。
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いなほん(プロフ) - 最゛高゛で゛す゛……!!!!素敵なにっかりさんをどうもありがとうございました！ (2016年12月4日 17時) (
レス) id: eb5ee429dc (このIDを非表示/違反報告)
新鮮な鉛筆(２B)(プロフ) - 拳銃さん» すみません、御指摘ありがとうございます。次のお話で、書き方を変えてみます…。 (2016年9月16日 21時) (レス) id: 873a9a633f (このIDを非表示/違反報告)
拳銃(プロフ) - もう少し間を開けた方が読みやすくなりますよー。はっきり言ってこれ読みにくいですね。二、三行で良いので間隔取ってくださいね(´-ω-`) (2016年9月15日 23時) (レス) id: d214872701 (このIDを非表示/違反報告)
ルサルカ(プロフ) - 新鮮な鉛筆(２B)さん» ありがとうございました！電車の中なのにニヤケちゃいました！www更新のんびり待ってるのでのんびり頑張ってくださーい！応援してますw (2016年9月9日 19時) (レス) id: 2218d295b6 (このIDを非表示/違反報告)
新鮮な鉛筆(２B)(プロフ) - ルサルカさん» 「待つ」ですか、リクエストありがとうございます！また時間が開いたら書かせていただきますね。 (2016年9月4日 8時) (レス) id: 451b47dddc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：新鮮な鉛筆(２B) | 作成日時：2016年8月10日 13時
